金曜日。
時が経つのは早いもので、あれよあれよという間に、
ところは秘密結社・
「ウツロは期待以上の少年、いや、人間と言ったほうがよいのか。ははっ、実にわたくしめを楽しませてくれましたぞ」
「おまえも気に入ったか、ウツロくんのことを。閣下、この機会にぜひ、閣下みずからウツロを値踏なさるのもご一興かと」
元帥・
「ふむ。いずれわが息子・
刀隠影司はロッキングチェアを揺らしながら言った。
「は、かしこまってございます」
浅倉喜代蔵が答える。
「蛮頭寺くん、われわれはあえて、遅参としゃれこもうではないか。御前試合には
「なるほど、それはいかにもご一興かとぞんじあげます。ふふっ、これはいよいよ面白くなってきましたな」
総帥の言葉に右丞相はニヤリと葉巻をふかす。
「ふふ、ついに会えるのだね。柾樹よ、そしてウツロよ」
面々はくつくつと肩を揺らした。
それはあたかも、地獄の魔王たちがおそるべき策謀を練っているかのような絵面であった。
*
「ぎひひ、ディオティマさま。いよいよ、明日、ですね」
「そうですバニーハート、壱騎ボーイとミスター森の戦いに乗じて、ふふっ、彼らを根こそぎいただくのです」
ホテルの一室で、ディオティマとバニーハートがきなくさい密談を交わしている。
「イギリスとドイツはとりあえず様子見の模様。ふふっ、とてもよい流れです。しかるにバニーハート、くれぐれもタイミングを仕損じないよう留意するのですよ?」
「ぎひっ、お任せ、ください」
「ふう、これでこのディオティマの研究は一気に飛躍し、さらなる高みへと達することでしょう。ふふっ、ふはははは!」
「ぎひっ、ぎひひひひ!」
果たして悪魔はどちらなのか。
ウツロたちの身に、着実に狂気が迫りつつあった。