学校をあとにしたウツロと
二人は秋の夕焼けの中を、やはり下校中の学生たちがすれ違いざまに発する声などをBGMに、会話をしながら歩いていた。
「
「うん、たぶん……何か、よくないことが起こりそうな気がするんだ……
真田龍子がこわごわと問いかけてくる。
ウツロはそれに返答しながらも、『組織』や万城目日和のことが気がかりで、考えがまとまらない状態だった。
「万城目日和……いったい何者で、どこに
真田龍子はウツロを心配していた。
万城目日和の父である政治家・
それを受け、ウツロは彼女ともし出合ったとき、しっかりと向き合いたい――
そう答えていた。
そのことでウツロが、思いつめているのではないかと、真田龍子は気が気でならなかった。
「ありがとう龍子、心配してくれて。でも、俺は大丈夫だから。たとえどんなことが起ころうとも、俺は父さんの言葉を忘れない……どんな状況に
「ウツロ……」
やっぱり苦しんでいる――
真田龍子はそれを感じた。
どうしてウツロが苦しまなければならないのか……?
ウツロは何も、悪いことなんかしていないのに……
そう考えると、彼女もまた、苦しかった。
しかしこれ以上、言わないことにした。
ウツロをさらに
そんな気持ちからだった。
「俺よりも龍子、君のことが心配だ。またあいつが、
「ウツロ、わたしは大丈夫だから……」
お互いに「自分は大丈夫」と言い、気づかい合う。
しかしそうすることによって、お互いに苦しめあう。
わかりきってはいるのだが、二人の性格上、そういう態度を取るほかはないのだ。
不器用だった、ウツロも真田龍子も――
しかしながらその不器用さが、お互いの愛情に
皮肉にも、であるが。
「ただ、一つだけ言えるのは……」
ウツロは歩きながら、真田龍子の手を
やさしく、
顔をお互いに見合わせる。
ウツロのそれは真剣そのものだ。
その
「龍子、俺はどんなことがあっても、君を守る……!」
「ウツロ……」
ウツロは静かに、だが決然と言った。
握り合っている手からは、言葉以上のものが圧力となって伝わってくる。
「ありがとう、ウツロ……わたしも負けない、絶対に……!」
つながる視線が、二人の少年少女の
それはすでに、『絆』をはるかに越えたものになっていた。
二人は手を
放課後の
まるで彼らを
(『第22話 ウツロと