「ええ、お母様。ウツロと
ウツロと
―― うふふ、『与える』だなんて、まるで犬にエサでもあげてるみたいねえ。素敵だわ、雅ちゃん ――
「これでウツロたちは
―― ふふ、そうよ雅ちゃん。すべては
「
―― それについてはまだよ。まだこちらは動いてはダメ。万城目日和については、まだわかっていないことが多い。顔も、居場所も……もし本当にアルトラ使いだったとして、その能力も。いまはウツロたちと同様、泳がせておくのよ。いいこと、雅ちゃん? ――
「はい、わかったわ、お母様」
―― ふふ、もしかしたら、ウツロが何か、マジックを起こしてくれるかもしれない。あわよくば、万城目日和の正体を、あぶり出してくれるかも。ふふっ、なんだか楽しくなってこない? 雅ちゃん ――
「そうだね、お母様……」
―― そうやってうまく『
「……」
―― ああ、なに? また
「……」
「ごめん、雅ちゃん、またかけるわ。ウツロたちのこと、よろしくね。仮にもわたしの
そこでブツっと、電話は
「……わたしもその『人形』の一つ……だものね、お母様?」
星川雅のロングヘアーが
その顔には
「ふう……」
落ち着け、雅。
いつものこと、いつものことだ……
彼女は自身にそういいきかせ、精神を冷静にした。
端末の履歴に目をやる。
『クソババア』の五文字に、殺意の視線を送った。
そしてすぐに、その目を
お母様は、わたしのことを愛してなんかいない……
あの女が愛しているのは、
そんなことを考えた。
「ふん……」
(『第21話 帰り道』へ続く)