「どう、ウツロ? この世には、わたしたちなんかじゃ想像すらつかない世界があるんだよ?」
ウツロはすっかり
あまりにも次元の違う、雲の上の話だったからだ。
「これ以上は話さないし、知るべきじゃない。あなたたちにもし
星川雅は再びコーヒーをすすったが、その手はかすかに
自分で話を切り出したものの、組織の、そして『
「
星川雅と真田龍子は、ギョッとして彼のほうを見た。
「彼女からコンタクトがあった」
ウツロはうなだれていた顔を上げ、
「……なんで、それを早く言わないのよ……?」
星川雅が驚いてきき返す。
「いまの話に、
ウツロの父・
似嵐鏡月の
「万城目日和……ついに、動いたってゆうの……?」
星川雅はおそるおそるたずねた。
「これを見てくれ」
ウツロは先だっての『手紙』を二人の前に差し出した。
その文面に彼女らは
「なるほど、この『手紙』に誘導される形で、あなたは体育倉庫までやって来たってわけだね?」
「ああ」
「いったい、何が目的なのかな……わたしたちを、かく
「わからない、そこまでは……何か、彼女なりの意図があるのかもしれない……」
星川雅とウツロは、こんなふうにマジマジと『手紙』の
「わたしを……」
真田龍子がやにわに口を
「わたしを、助けようとしてくれたんじゃないかな……?」
二人はポカンとした。
「わたしが傷つけられるってことは、ウツロも傷つく……
真田龍子は続けたが、星川雅とウツロは納得がいかない様子だ。
「龍子、悪いけれど、それはないって。万城目日和は
「龍子、すまないけれど、俺も雅に同意する。想像にすぎないけれど、万城目日和が俺のために何かをするなんてことは、ありえないと思うんだ。俺を傷つけるということは、あってもね」
二人から食ってかかるような態度を取られ、真田龍子は
「……そう、だよね……ごめん、変なこと言っちゃって……」
彼女がシュンとしたのを見て、ウツロは
「ご、ごめん龍子、こっちこそ……そんなつもりは、なかったんだ……」
「龍子はおひとよしすぎるよ。
「雅、そんな言い方はないだろう」
「なによ? 珍しくわたしに同意するだなんて、せっかくいい気分だったのにさ」
ウツロと星川雅がきなくさい
「ああもう、落ち着いて二人とも。でも、こわいよね……いつ
彼女は不安な気持ちを正直に
「そうだね。くれぐれも油断はならないってとこだね」
星川雅は指を
万城目日和への
それを考えていたのだ。
「あ、そうだった……」
「なに、ウツロ?」
「これが、俺の
ウツロはくだんの『
「これは、『
星川雅はマジマジとそれを見つめながら、そう
「おそらく、万城目日和もアルトラ使いだ。この『爪』は、そのことを
万城目日和がアルトラ使い――
ウツロの
三人は
(『第20話 保健室の狂気、再び』へ続く)