保健室へと移動したウツロ、
とりあえず星川雅は、真田龍子が
処置が終わり、
「さて、何から話そうか」
星川雅は少し考えて、次のように切り出した。
「二人はたとえば、この国を影で
ウツロと真田龍子は顔を見合わせた。
何を言いたいのか、さっぱりわからなかったからだ。
「バカバカしい……日本は
ウツロはこのように、星川雅に反論した。
「アルトラは?」
「……!」
彼は心の中で
「ね、アルトラだって、マンガやアニメの世界でしょ? でも実際にある。それと同じように、その組織もね……」
星川雅の
「日本を影で掌握している組織……それが実際に、存在するってことなんだね……?」
「あは、龍子のほうがずっと、ものわかりがいいよね」
真田龍子の言葉に、星川雅は
ウツロはムッとした表情になる。
「いいから、話を続けろ」
「ふん……」
星川雅は続けた。
「その組織の歴史は長いんだ……戦国時代のころにはすでに
話を聴いていた二人は、あまりの
「……その組織が、どうつながるんだ……?」
ウツロはいぶかしげにたずねた。
「話は最後まで聴いてよね。
あまりにもぶっ飛んだ話に、二人は言葉が出なかった。
「ああ、ちなみに、
わけのわからない専門用語が
「待ってくれ、それじゃまるで、平安時代の
星川雅はブラック・コーヒーを
「さあ、
ウツロはすっかり固まってしまった。
そんなことを信じろというのか?
そんなバカげたことを?
日本を影で支配している組織があって、その幹部は平安時代の官職を名乗っている――
バカげている……
あまりにも……
「なんで……」
真田龍子がおそるおそる口を
「なんで、雅は……そんなことを、知ってるの……?」
ウツロはハッとなった。
「……確かに、龍子の言うとおりだ……雅、どうしてそんなことを……?」
星川雅はマグカップをデスクの上に置き、
「わたしのお母様もだからだよ、ウツロ。
はじめて知った似嵐家の情報――
それに、『組織のトップ』というフレーズに、ウツロは反応を
「閣下、だと……いったい、それは何者だ……それに、その組織の
ウツロはしどろもどろになりながら、そうたずねた。
「
星川雅は、はっきりとそう言った。
「な……」
その態度にウツロは言葉を
「だって、それを言っちゃったら、わたし、
始末――
その
「わたしだけじゃない。おそらく
星川雅の言葉が
それは
「それほどに、おそろしい存在なんだよ? あの組織は、
あのお方――
その単語にウツロは言い知れない恐怖を感じ、体が寒くなってきた。
「人間がアリを
星川雅は語り終えると、深い呼吸をした。
ウツロは顔を
いまの話はまるでおとぎ話……
だが雅は、わざわざそんなことを言うような人間じゃない。
存在するというのか……?
この国を影で掌握する組織とやらが……
組織というからには『
そんなおそろしい組織を
いったい、何者なんだ……?
そもそも、『人間』なのか……?
まるで想像もつかない…
雲を
この世には俺の知らない世界が……
いや、
ウツロはこんなふうに、
(『第19話