「さあ、その女、メチャクチャにしちゃって」
「んん、んんっ!」
「へへっ、いいにおいだあ」
「ヤバくね、こんなことして?」
「知るかよ。刀子がぜんぶ、あと始末はしてくれるってさ。あいつの母ちゃん、政治家だし。そういうのは大丈夫なんじゃね?」
「じゃあ……」
「おうよ、たっぷり
とりまきの男子生徒たちは、制服ごしに彼女の体をベタベタと触りつづけている。
「このポニーテール、さらさらしてたまんねえ」
「胸もけっこうデカいじゃん。着やせってゆーの?」
「とっととむいちまおうぜ」
男たちは
真田龍子は彼らの頭の中を想像した。
そしてそのあまりのおぞましさに、恐怖あまって肉体が
わたしはこれから、こんなやつらに乱暴されるんだ。
いやだ、いやだ……
助けて、ウツロ……
「う……」
かすかなうめき
「な、なにっ……!?」
刀子朱利はとび箱に両手をついた。
男子たちの体が、
たちまちに彼らは、体育倉庫の冷たいコンクリートの上へ
「わたしの大事な『ペット』に、手え出してんじゃないよ、朱~利?」
真田龍子の背後から、別な女子がぬうっと姿を現した。
「み、
刀子朱利は
「雅、わたし、わたし……」
真田龍子は一気に安心感がこみあげ、体を震わせて星川雅に抱きついた。
「もう大丈夫だからね、龍子。心配しないで」
「う、ううっ」
しがみついたまま号泣する。
面白くないのは刀子朱利だ。
「雅い、あんたなにわたしの楽しみを邪魔してくれてんのさ?」
「こんなことが趣味だなんて、ほんと、下品だよね、朱利? 龍子はわたしのかわいい『ペット1号』なの。この落とし前、どうつけてくれるの?」
火花を散らして二人は言いあった。
「ふん、ごめんねえ雅。あんたの大切な『ペット』に手えつけちゃってさ。よく人のことが言えるよね。
「あなたこそ、そのねじ曲がった性格、治らないよね。
真田龍子は二人の話していることの意味がわからなかった。
「雅、いったいどういう……」
さっきのウツロの情報といい、自分にわからないことを二人は知っている。
それに胸騒ぎがしてならなかった。
「龍子、あとでちゃんと説明する。とりあえずいまは、ちょっと隠れてて。もしかしたらこの倉庫が、吹き飛ぶかもしれないから」
「え、え……?」
真田龍子を入り口の
「へえ、やる気まんまんってわけだね。大事な『ペット』を守りたいんだ? あは、泣かせるう」
「あなたこそそうなんでしょ? わたしを殺す気まんまんのくせに」
「あたりまえじゃん。でも雅、まさか
「バーカ」
星川雅はニヤリと笑った。
「……っ!?」
彼女の髪の毛がざわざわと
星川雅の愛刀・
彼女はそれをキャッチすると、前方へ突き出すように
開いた口はすぐに元へ戻った。
「きゃはっ! ゴーゴン・ヘッドのお口の中に隠してたんだ! ほんっと、抜け目ないよね雅は!」
真田龍子は思った。
刀子朱利……
この女、アルトラの存在を知っている……
まさか、
「ほら、わたしを殺すんじゃないの、朱利?」
「上等だよ、雅い……」
顔をゆがませて笑うと、刀子朱利は10段のとび箱の上からスッとジャンプした。
音もなく着地し、低い姿勢で両の
「
「きな、朱利っ!」
体育倉庫内の空間がぐにゃりとゆがんだように、真田龍子は
(『第12話