「
「来るがいい、ウツロ――!」
次の瞬間、目にも止まらぬ速さで、
速い――
ガキン!
黒彼岸とウツロの持つ
「ぐ、ぬう……」
「くっ……」
いや、師である似嵐鏡月と
これはウツロにとっては自信に、師・鏡月にとっては
「ふんっ!」
「――っ!?」
似嵐鏡月はそれを振り払うがごとく、ウツロの剣を押しのけた。
ウツロは
「どうしたウツロ、その程度か?」
「まだまだです、お師匠様!」
彼は再び、師に向かって跳躍した。
「何度やっても同じことよ!」
「それはどうでしょうか――!?」
ウツロは似嵐鏡月の
「なにっ――!?」
そのまま桜の木をステップとし、角度を変え、また別の木へ。
それを何度も
「まさか、これは――」
似嵐鏡月は
「……あれは、そんな……
八角八艘跳び――
少し前、
もちろんウツロは見よう見まねでやっている。
だが、人間ならざる虫の能力――
バッタやイナゴの
「……くそっ、コピーのはずなのに、まったく
似嵐鏡月を
「くっ、そこか――!?」
「――っ!」
黒彼岸は確かにウツロの
「な……」
だがその部分は、まるでゴムのようにたわんで、マルエージング
「な、なんだと――!?」
「
「なっ、バカな……! これではまるで、無敵ではないか……!?」
「そう、
「……ならば、こうしてくれるわ!」
「――っ!?」
似嵐鏡月は全身を横に
「刀で
「およしなさい……!」
「むぐ――っ!?」
粉々になったのは、山犬の牙のほうだった。
「……あが、あがが……」
「俺の体はすでに、カブトムシの
「……あが、わしの、歯が……」
「どうやら幕の引きどきのようですね。はあっ!」
「ふぁあっ!?」
ウツロは体に力を込め、自身を握っていた山犬の手を、一気に
「お師匠様! いざ、
「――!」
横に回転しながら、ウツロは似嵐鏡月に突進した。
「あれは、
星川雅が
やはり彼女が見せた技の見よう見まねだったが、ウツロのそれは巨人サイズのカマキリの
「ぐがあっ――!?」
その斬撃は山犬の
「……」
似嵐鏡月は気が遠くなり、後ろへゆっくりと
ウツロは静かに着地し、姿勢を正して、偉大なる師へと一礼した。
「お師匠様、最高の勝負を、ありがとう、ございました……」
その目から
(『第77話