「エクリプス……それがいい。俺のアルトラの名前は、エクリプス」
エクリプス――
「
ウツロは
ウツロは
「ウツロさん、姉さん、よくぞご無事で」
降り立った二人のそばへ、
「虎太郎、ありがとう……あなたの能力がなかったら、わたし……」
「いえいえ、なんにもです。ひとえに姉さんとウツロさんの、愛の力の勝利です」
「え……ああ、あはは……」
弟の指摘を受け、姉はかなり気恥ずかしくなった。
「虎太郎くん、お姉さんを、龍子を頼みます」
「はい、お任せください、ウツロさん!」
ウツロは真田龍子を弟・虎太郎に
「やはり、愛の力だったようです……!」
「……あはは」
ウツロが姉を「呼び捨て」にしたことに、真田虎太郎は愛の力の
弟が何か勘違いしているような気がすると、姉は照れくさく感じた。
いっぽうウツロは父・似嵐鏡月の前へ、
「お師匠様、立ち合いを望みます。俺はその中で、答えを見出したいのです」
このように彼は、自分の覚悟のほどを、父親に向かって表明した。
「……
ムカデの姿はいつの間にか消え失せていた。
毒のしびれもほとんどおさまっている。
「虫を
「さすがはお師匠様、ご理解の早さ、おそれいります」
「ふん、恐縮などせんでよい。見せてみろ、お前の『とっておき』をな」
「されば、お師匠様……」
再び大地が
地の底から何か、
「虫たちよ、俺に力を貸してくれ――!」
ウツロの呼びかけに
「……!」
先ほどのムカデ、いや、それだけではない。
春を支配する虫たち、チョウ、ハチ、アブ、ガ、ハンミョウ、テントウムシなどの
「これは……!」
虫たちを身にまとい、ウツロは
美しさと毒々しさが混在した色合い、部分によって
しかしその本質は、およそ虫という存在が持つ要素の結晶である――
そんな所感を与えずにはいられない姿だった。
「
「すべては偉大なるお師匠様のため。覚悟はとうに決まっております」
「……わかった。来い、ウツロ……!」
オモチャのようなサイズに見える
それを受け、ウツロもまた同様に、
「推して参ります、お師匠様――!」
(『第76話 ウツロ 対