「めそめそすんなあああああっ!」
ウツロの
彼は頬を押さえながら、
「誰も俺のことをわかってくれない? わかってもらおうだなんて思うな。そんなことを考えてるうちは、まだ、ガキなんだよっ――!」
真田龍子は
しかしそれは
たとえ
その決心の表れだった。
「あ……あ……」
ウツロは赤くなった頬に涙を垂らした。
なんだ?
なんだ、この感覚は?
これが本当のやさしさ……?
簡単なようでいて、それは一番、難しいことなのではないか……?
「ねえ、ウツロくん」
彼女は両手でウツロの顔を引き寄せた。
「毒虫だって? それが何? 虫は存在してちゃいけないっていうの? そうじゃないでしょう? ウツロくん、たとえあなたが本当に毒虫だとしても、
「……」
「好き、ウツロ……」
「――っ!?」
口づけ。
その甘さは、
「……真田さん、苦しい……」
「ああ、ごめん……わたし、つい。へへ」
「……バカのほうがいいこともある、か」
「あとでたっぷり、バカになりましょう。ね、ウツロ?」
「うん、真田――」
「うーん?」
「……その、りょ、龍子……」
「いい顔だね。そんないい顔、できるんじゃん?」
「……龍子のせいだよ?」
「なにそれ、ヘンテコ」
「どうせ俺は、パッパラパー助くんだよ」
「はは」
「あ、はは」
ウツロは、いや、真田龍子も。
互いが互いに、おそらく生まれてはじめての、開放感――
心を開いたときの自由さを、
「ウツロ、みんなが……
「わかってる、龍子……俺は龍子に助けてもらった……そして今度は、俺が助ける番なんだ……!」
「行こう、ウツロ――!」
「うん、龍子――!」
二人の体は光の
(『第72話