「はじめわしは、殺そうと思った……アクタ、ウツロ……お前たちを……そしてひとおもいに、自分も死のう……そう、思った……だがな……」
「ある考えが……悪魔の考えが、頭をよぎったのだ……それは……」
今度はへらへらと、
「この子らに……愛するアクタの命を奪った、にっくき二人の
アクタとウツロの
彼らがいったい何をしたというのだ?
それをこんな理由で、自分を世界でいちばん不幸だと思い込んでいる男の、的の外れたわがままで、すべてを奪われたのだ。
家庭も、青春も、人生そのものも――
こんなことを実の父から告白されて、冷静でいろというほうが
ウツロとアクタの頭の中は真っ白になった。
もう何も考えられない。
もう、どうでもいい――
いっそ殺してくれ、それがいちばん楽だ。
二人の「呪われた存在」は次の瞬間、何かの気まぐれによって、意識が吹っ飛びそうな状態に
しかし、そんな二人を救おうとする存在が
「ガキだな」
「話はわかった。だがな、てめえの理由で、てめえの
そのセリフに、似嵐鏡月は
「何がわかる? 貴様のようなガキに。アクタの不幸を、わしの苦しみを――」
「じゃあてめえは、アクタとウツロの苦しみがわかんのかよ?」
「黙れ、ガキがっ! 偉そうに説教か? そんなやつらのことなど、知ったことではないわ!」
「どうあっても、アクタとウツロに、わびを入れる気はねえってか?」
「当たり前だ。その二人を苦しめることが、わしの生きがいだからな」
「……そうか。似嵐鏡月……てめえはクソだ……! てめえがてめえのわがままで、どんだけ取り返しのつかねえことをしでかしたのか、それをわからせてやるよ……!」
「ははっ、これはケッサクだ! いったい何ができる? 貴様のような
にやり――
南柾樹は笑った。
「アルトラにはアルトラで、なんだろ?」
だからこそ、止めようとした。
「柾樹、ダメよっ! あの能力を使ったら、あなたはただでは済まない……!」
「そうよ、柾樹っ! あれを使ったら、ほかでもない、あなたがいちばん苦しむことになる……!」
だが、彼の決意は固かった。
「だから何だよ? アクタとウツロの苦しみに比べりゃあ、
桜の森の
あやかしのような
「な、なんだ、いったい……」
似嵐鏡月もそうだった。
山のような
彼はその
「
(『第64話 サイクロプス』へ続く)