「さあ、ミスター・キョウゲツ、その装置の前に立ってください。それだけでいいのです。あとはそのファントム・デバイスが、すべてやってくれます」
奇妙な装置だった。
金属でできた大きな
なるほど、ここから
そう思った。
「そういえば、テオドラキアはどこに?」
「別の部屋で
「……どういうことだ」
「
「……なんと、なぜ、そんなことを……」
「そうすれば……ふふ……テオドラキアに、魔王桜の能力が備わるのですよ」
「なん、だって……テオドラキアは、グレコマンドラ……あなたの娘だぞ……?」
「これはわが
「……狂っている……なぜ、僕が選ばれた……? いったいお前は、何者だ……?」
「ミスター・キョウゲツ、
「キョウカンカク……とは……?」
「生まれ持った脳の機能で決まると考えられている特別な能力で、たとえば物質を見ると、数字の
「それが……僕の質問と、何の関係が……?」
「わたしも持っているのですよ、その、共感覚をね。わたしには人間の精神状態が、
「わけがわからない……何を言っているんだ、あなたは?」
「魔王桜はそんな赤い、
「……」
「あなたを病院で見かけたとき、興奮を禁じえませんでした。ふふ、こんな『赤』は、見たことがない、とね」
「……たばかったな、グレコマンドラ」
「もう遅い、遅いのです、ミスター・キョウゲツ。ほら、この『音』が聞こえるでしょう? ファントム・デバイスが起動したのです。そして、ふふ……」
「――っ!?」
グレコマンドラの手は、わしの
「最後に教えてあげましょう。ディオティマのアルトラ、その能力とは……自分の精神を
「わあああああっ!」
「長かった、ここまでたどりつくのに……これでわたしは、魔王桜の力で、
(『第60話