「これがわしの、ブラック・ドッグだ……!」
「お
「なんて、ことだ……」
ウツロとアクタは言葉を失いかけた。
「どうだ? アクタ、ウツロ。これがお前の父の、お前たちの人生を
彼の姿は
白い
二人はすっかり気が
「はん! まさか
「それは
「――っ!」
「ほら、何も言い返せんだろ? われらは同じ穴のムジナよ。いや、ひいては人間……人間の存在とは、そういうものなのだ。人間の存在は、間違っているのだ」
「……ずいぶん人間が嫌いなんだね。だから人間を傷つけるのが得意なんだ? あなただって人間じゃん? バカなの? そんなに人間が嫌いなら、まず自分が死んだらよくない?」
星川雅は最大級の毒を吐いたつもりだった。
「なっ……」
笑っている、似嵐鏡月は――
その
こんなことを言われて、どうして笑えるのか?
彼女は
「ああ、もちろん、
「本懐って、なんのことよ……?」
星川雅はおそるおそる聞いた。
「この世から人間を
何を言っているんだ?
頭は大丈夫なのか?
人間を駆逐するだって?
いったいどういうことだ?
その意味するところがわからず、理性的な彼女ですら混乱した。
「人間の存在は間違っている、だから駆逐する。
牙の
「なんで……」
「ああ?」
「なんでそんなに、人間が
「憎い、か。それは違うな、お
似嵐鏡月はどこか遠い目をした。
「あれは……まだわしが、ガキの
(『第52話