どれくらい時間が
ドアをノックする音に、ウツロはもたげていた首を、そちらへと向けた。
「うぃー、いるかー?」
「
「入ってもいいか?
「どうぞ……」
入室した
「どうした? うずくまって。またなんか、考えてたのか?」
「うん、ちょっとね……」
それは彼女への配慮でもあり、南柾樹への配慮でもある。
南柾樹自身は、「何かあったのでは?」と考えつつ、やはりウツロに配慮して、触れることはしなかった。
「邪魔するぜ」
彼はのっそりと中に入ってきて、
気の重さが肉体的な動きに出てしまっているが、今回ばかりはウツロに
視線を合わせようとしない彼を横目に、どう切り出そうかと、南柾樹は少し
「柾樹の料理、すごくうまかったよ」
「おお、気に入ってくれてうれしいぜ」
ウツロは気を使って先に声をかけたが、無理をしているので機械的な
南柾樹は合わせたものの、これでは身を案じるなというほうが難しい。
どうしたものかとためらっていると、またウツロがおせっかいで先に声をかけた。
「いいネギだったね」
「
「俺がいた
「アクタってやつのことになると
「アクタとは
「そう、か……」
ウツロはといえば、アクタの話題を切り出したのがきっかけで、自分たちの
「アクタも俺も、肉親に捨てられた。俺は憎い、俺を捨てた親が、俺を廃棄した世界が」
「……」
彼は正直な気持ちを
しかし話には続きがある――
そう感じた南柾樹は、ウツロの思いのたけを聞いてやろうと思い、あえて口は
「だけど、ここに来てから……柾樹、お前や、真田さんたちに出会ってから……うまく言えないけれど、
「……」
ウツロは丸くした体をさらに
彼は
「頭が混乱するんだ、わからなくて……人間とはいったい、何なのか……それを考えていると……」
苦しみを
南柾樹は、すぐ隣で震える同世代の少年に、最大限の配慮を
「……俺、頭わりいから、うまく言えねえけど……そんな、難しく考えなくても、いいんじゃねえか? なんつーか、同じ考えるなら、これまでのことより、これからのことをさ」
この言葉にウツロはカチンときた。
もちろん、南柾樹に悪意はない。
それどころか、
しかし認識の
彼は隣に座る少年に、
「……何がわかる、お前に……俺は捨てられた、廃棄された……この世にいらない、必要ない存在なんだ……この苦しみがわかるか?
この態度に、今度は南柾樹が切れた。
しかし今回ばかりは、彼のほうがまだ冷静だった。
この「ガキ」にものを教えてやる――
そう決意した。
「俺だってそうさ」
「……?」
何を言っているんだ?
いったいどういう意味だ?
ウツロは南柾樹の
南柾樹は
「俺も、
(『第34話