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第18話 幕間劇

「自己否定ね」


「えっ?」


 医務室を出た真田龍子さなだ りょうこは、弟を部屋へ戻し、星川雅ほしかわ みやびと立ち話をしていた。


 発せられた「自己否定」という単語に、いったい何のことかと反応する。


「きっと何か、トラウマを抱えているのね。あまりにも強すぎるトラウマを。そこから発生する強烈な自己否定。彼の場合、自分は人間ではない、虫か何かのような、おぞましい存在だという強迫観念に取りつかれているのよ」


「……なんて、こと……」


「龍子、ここを案内する必要があるから、悪いけれど――」


「雅は?」


「『上』に報告だね。それに、わたしは嫌われてるから。龍子と違って、ね?」


「あっ……」


 手の甲で星川雅は、真田龍子を軽くつついた。


「じゃ、お願いね」


 その手を翻して、足早にその場を去っていく。


 残された真田龍子は立ちつくした。


 ウツロくん、どうしてこんなことに……


 あんな、やさしい子が……


(『第19話 ラブコメディ』へ続く)

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