自殺の名所。心霊スポット。
…ホント、岩だらけ。
墜ちたら…バラバラね。
でも波が綺麗にしてくれるよ、うん。
聞いたの、自殺したら地縛霊になるって。自分が死んだのよく分かんなくて、ずっとその場にいるって。
幽霊とか視た事ないけどね、あたし。霊感とかそんなの無いから。
でも、
生きてるの辛くて、どうしようもなくて…違うかな。
もういいやって面倒くさくなった?
あたしもそうだよ。
そりゃアイツに騙されてたのは辛いよ。結婚してくれるって言ったから貯金全部渡したのに……
部長だって同期の皆だって殺してやりたい。大卒がそんなに偉いわけ?高卒の事務は奴隷扱いしていいと思ってんの?ふざけんなよ!
……相談できる友達でもいればさ、良かったけどね。
でも自殺サイトまであんなコミュニティ出来てるなんてさ。皆悩みとか打ち明け合って、楽しそうで……
あたし、そういうグループに後から入れないもん。親が離婚して、ママが働き過ぎて死んじゃって、転校ばっかでさ。クラスではもう仲良しグループもカーストも出来上がってて、あたしは誰にも相手にされなくて……
顔もブスだし頭も悪いし、陰キャだしコミュ障だし、スマホのお金も無かったもん。
そのまま大人になったんだから。無理だよ、今さら。
でも
だったら、あたしみたいにどうしようもなくなって、居場所が無くなって、飛び降りた人もいるよね?
何人か…ううん、一人でもいい。
一人くらいいるよね?
あたしの話聞いてくれる人。
『分かるよ』って、『大変だったね』って言ってくれる人、いるよね?
そんな人達が集まってる場所なんだよね?
ねえ、仲間に入れてよ。
お願い──
………なんで?
なんで誰もいないの?
自殺の名所じゃなかったの?
痛いよ。
誰か返事して。
誰か。ねえ、痛いってば!
独りは嫌だよ!
誰かあ!
……自殺して地縛霊になると、何十年、何百年とその場で自殺し続けるという。
苦しさからせめて誰かに気付いてもらいたいと自分の存在をアピールしても、霊感の無い者にはその姿は視えない。
例え幽霊同士でも。
「──というのはどうでしょう?」
訳あって少年野球チームのお泊まり会で怪談を披露する事になった彼女が、試しに考えてきた話だそうだ。
隣にいるマヨ
怖過ぎる。
子供は絶対泣く。
固まるオレ達の様子に、真見は首を傾げる。
「やっぱりあっさりし過ぎてますか?長いお話は子供達が飽きるから、こういう短いのを百話しようかと思ったんです。百物語って事で、最後に
やめて。