とある星のとある国のとある町のとある辺鄙なところに森があった。
そこは闇に支配されている。そこは昼間でも真っ暗闇なので普通の町民達は近づかないしかし闇の魔法使い達はずんずん入っていく。素材が山ほどあるのだ。
深夜そんな森に1人の小さな少女が現れ入っていった。
この山に入る人は魔法使い(40代)ぐらいの人しか入ってこないはずなのに...
なんでこんな幼い子供が入ってくるんだァ?!
僕はこの森を守護する番。
何百年この森を見守ってきたけど1度もなかった。
大人しか見た事ないから分からないがきっと 、10歳ぐらいのとても綺麗な身なりをした大変可愛らしい子供だった。
そんなの子供が何故こんな森に、そしてこの子からは一切魔力を感じられない。
疑問と好奇心に駆られてしまった僕はこの何百年間で身につけた技術を駆使して、この子の心を読むことにした。
『月に願いを君の心を』
その言葉を呟いた途端心に伝わってきたのは無数の悲しみとほんの僅かな感謝。
いつもだったら使わないこの魔法を使わせてまで好奇心を植え付ける、この少女に更なる興味が湧いてきた。そしていつも来るやつらとは違うが似た物を感じ取った。
普段だったらここで追跡をやめるがさらに追いかける。
視界は闇に支配されているはずなのにこの子は綺麗に魔獣や木など全ての障害を避けながらどんどん奥へ進んでゆく。
なんだろ風になびく髪そしてこの俊敏さと危機察知能力見覚えのある。
そしてこの子から滲み出てくるこの思いが僕に重く突き刺さる。
そして月が綺麗だ。
いつまでこの子は進んでいくのだろうか。
僕だってそうそう入っていない更なる奥まで進んできた。
そしてこの森の闇を作り出している魔木
「ダリブ」までやってきた。
そこでやっと僕はこの方の正体に気づいた。
「久しぶりフク。」
「えぇマリ様」
月光に照らされた髪をなびかせ微笑むこの子は僕の主である大魔法使いマリーシア様だ。
何年ぶりなんだろうかこうして言葉を交わすのは。
しかしなぜ僕は、大魔法使いである彼女の魔力を感じることができなかったのだろうか。
そして彼女の無数の悲しみとはなんだろうか。
「ねぇフクここまで来てもあなたは思い出せないの?」
泣くのを寸前で我慢したような顔でいや本当に泣くのを我慢しているのだろう、そんな顔でマリ様は言った。
「えっ?なんの事ですか?」
「えぇこの木も昔は葉を青々と茂らせ人々の憩いの場でしたね。」
今は闇に染まった葉を茂らせて闇を撒き散らしているこの木が、人々の憩いの場?
疑問に思ったがその場を想像してみた。
周りにテーブルが沢山あって、誰かとお喋りしている僕。その周りには誰がいるだろう。
いや誰がいたんだろう。鳥じゃない僕がいて、隣には青色の綺麗な髪の女性が居て、その横には僕の羽の色と同じ髪色をした少女が居て、周りには笑顔が溢れていた。
あぁこの木がまだ笑顔が溢れていた頃から僕達は一緒だったんだ。
その光景を思い出した途端僕の目から涙が溢れ出てきた。
そんな僕をしっかり見つめながらマリ様は僕に問いかけてくる。
「そしてフクあなたは最後に会った月の色を覚えてますか?」
月...町が燃え盛る中彼女は大笑いでその光景見ていた気がする。
「赤色?」
「あぁやっと思い出したのねふふ。ここまで恋心を我慢した私を褒めてあげたい。」
彼女は...
「私は星のカケラ。あなたと融合すれば私は本当の星騎士団になれる。だから」
犠牲になってね。
彼女は自分の言葉も待たずに、吸収攻撃を仕掛けてきた。
『月に願いを星のカケラ』
吸い尽くされる意識の最後が見たのは美しく光り輝く月だった。