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【タイトル】

第51話 バレた!?


【公開状態】

公開済


【作成日時】

2022-01-24 19:55:58(+09:00)


【公開日時】

2022-01-24 20:00:11(+09:00)


【更新日時】

2022-01-24 20:00:11(+09:00)


【文字数】

1,571文字


本文92行


「大人びてる子供なんて珍しくないけど、キミのはそういうのとは違うよね」

「え……いや、あの……」

「それに、キミの魂はこの世界のモノとも違う。どうして?」


 私が転生者だってバレてる!?

 そんなことある? でも、ナーガさんは生粋の魔法使い。もしかしたら、そういうこともわかっちゃうのかも。

 ああ! どうしよう!


 ……って、よく考えればバレると何かがマズイってわけでもない。

 アニメや漫画だったら、バレたらなんらかのペナルティがあるけど、別にそういうわけでもないし。

 お父さんやサディさんを驚かせちゃうと思って黙ってたけど、ここまでわかってる人になら言ってもいいのかもしれない。


「……信じてもらえるか、わからないんですけど」


 私は前世の記憶があり、異世界転生をしてきたこと。前世では20歳だったことを話した。

 口に出すと、我ながらわけのわからない話だ。オバケ騒動でも信じてもらえなかったのに、他の人にこんな話したって誰にも信じてもらえないだろう。


 けど、ナーガさんは納得したように頷いた。


「へえ、すごい。初めて聞いた」

「信じてくれるんですか!?」

「だって本当なんだろう?」


 ナーガさんの方から聞いてきたことだけど、こんなにあっさりと信じてもらえるとこっちが驚く。


「異世界転生、前世の記憶……おもしろい」


 ナーガさんが不敵な笑みを浮かべた。ちょっと不気味。


「アルバートとサディアスは、このこと知らないよね」

「はい。驚かせたくなくて……」

「そうだね。その方が賢明だ」


 お父さんたちには黙ってることを察して、2人きりにしてくれたんだ。

 ナーガさん、良い人じゃない。


「キミの前世の世界のこと、聞かせてもらいたい」

「でも私、地球の日本というところに住んでただけで世界の全部を知ってるわけじゃないんです」

「この世界にだって、世界のすべてを知ってる人間なんて居やしないよ。キミの知る限りでいい」


 興味津々なナーガさんから次々と質問が飛んでくる。

 モンスターがいないならどんな生き物が生息しているんだとか、魔法がないならどうしていたんだとか、人々の暮らしや考え方、国の仕組みなどなど。

 いろいろ聞かれたけど、ただの一般人だった私が答えるには限度がある。

 しかも、私はお母さんの看病ばっかりでロクな社会経験もない。

 もう少し勉強しておけばよかった。本も読むのはBLばっかりだったもんな。


「……なるほど」

「多少はわかってもらえましたか?」

「キミがあまり博識でないことはわかったよ」


 それはどうもすみませんでした……。


 ゴンゴン、と扉が叩かれた。


「入るぞ!」


 もちろんお父さんだ。サディさんも後から追いかけてくる。


「ナーガ、いつまで話してるんだ」

「まだ聞きたいことが」

「もういいだろう。アリシアは妖精だかオバケだかの騒ぎで疲れてるんだぞ」


 ずっと話していたから、気づけば結構時間が経ってたみたいだ。お父さんがしびれを切らすのも無理ない。


「少し休憩にしようよ。アリシアちゃん、お腹空いてない? おやつ作って来たからみんなで食べよう」

「わあい! サディさんのおやつ大好き!」


 いつも通り無邪気に喜んだけど、ナーガさんの視線が気になる。

 中身が大人だと知られてる人の前で子供っぽく振る舞うって、結構恥ずかしい。


 サディさんがおやつの用意をしてくれてる間、今度はお父さんが私に質問タイム。


「アリシア、大丈夫だったか? ナーガに怖いことされなかったか?」

「大丈夫だよ。ナーガさん、とっても良い人だもん」

「なら良いんだが……ずっと何を話していたんだ?」


 そりゃお父さんなら気になるところだよね。

 でも本当のことは説明できないし、とりあえず適当に……


「アルバート」


 先にナーガさんが口を開いた。

 え、助け船出してくれるの? それともまさか、本当のこと言っちゃったりしないよね!?


「なんだ?」

「アリシアを、僕の弟子にしたい」


 また突然なに言い出すのこの人は!?





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