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episode_0049

【タイトル】

第49話 呪い?魔法?


【公開状態】

公開済


【作成日時】

2022-01-22 18:04:31(+09:00)


【公開日時】

2022-01-22 20:00:49(+09:00)


【更新日時】

2022-01-22 20:00:49(+09:00)


【文字数】

1,402文字


本文90行


「キャアアッ!」


 またこれだ! ついに家にまで出てきた!

 いつものだってわかってる。わかってるけど慣れるわけない。

 エッグタルトから飛び出たのは、手のひらサイズの骸骨。それがタルトからゾロゾロと出てきて、黒い羽を広げて飛び始めた!?


「アリシア! どうした?」


 戻ってきたお父さんにしがみついた。


「そこに骸骨がいるの!」

「骸骨?」

「学校にいたオバケなの! オバケがいっぱい出てきてるの!」


 顔を上げると、お父さんの頭と肩に骸骨が乗ってダンスをしていた。


「わああっ!」


 反射的にお父さんから逃げ出すと、サディさんに抱き留められる。


「アリシアちゃん、大丈夫。何もいないよ」

「いるの! そこに! 2人とも見えないの?」


 2人が顔を見合わせた。

 やっぱり見えてないんだ……どうして私にだけ、こんなのが……


 突然、お父さんが部屋の隅に行って何かを手にした。剣だ!


「化け物ども、どこにいる。俺の娘を怖がらせるとは許しておけん。今すぐ叩き斬ってくれる!」


 剣を引き抜いた父さんは勇者の顔をしてる!

 でも、剣は飛びまわる骸骨たちに当たらず、すり抜けてしまった。

 実体がないんだ……ってことは、やっぱりオバケ!?


「アル、落ち着けよ。そんなの振りまわしたらアリシアちゃんが怖がるだろ」

「っ、悪い」


 お父さんを正気に戻しながら、サディさんは抱きかかえた私の背中をさすってくれた。


「アリシアちゃん、骸骨が見えてるの? まだいる?」

「いる……テーブルの上にも、窓にも、部屋中にいるの」


 空中を飛びまわって、こっちではダンスしてて、あっちでは頭蓋骨でキャッチボールしてる。もうカオス……。


「アリシアちゃんにだけ見えてるのか……もしかしたら、何かの魔法かもしれないね」

「魔法だと?」

「魔法か、それとも呪いか……」


 魔法? 呪い?

 非科学的だけど、この世界では1番現実的!


「アリシアに呪いを掛けたやつがいるのか! 誰だ!」

「まだ確定じゃないって。それに、本当に魔法や呪いだったとしたら俺たちにはどうしようもないよ」

「魔法だったらサディが使えるだろ。この妙な魔法を消したりできないのか?」

「俺じゃ無理なんだよ。こういうのは、生まれながらの生粋の魔法使いじゃないと対処できない」

「生粋の魔法使いか。リリアがいれば……」


 お母さんは魔法使いの家系に生まれた。後から魔法を習ったサディさんとはまた別らしい。


「いるじゃない。もう1人、俺らのパーティーには魔法使いが」


 サディさんの提案に、お父さんが顔をしかめる。


「……ナーガか」

「あいつは生粋の魔法使いだろ。どうにかできるかもしれない」


 ナーガ、さん?

 初めて聞く名前だ。パーティーってことは、お父さんたちと一緒に旅してたんだよね。

 でも、お父さんは明らかに気が乗らない顔をしてた。


「あいつか……あいつに頼むのか……」

「ウジウジ言ってる場合じゃないだろ。アリシアちゃんがこのままでもいいのかよ」

「いいわけがない! すぐにナーガを呼ぶぞ!」


 さすがお父さん、私のことになると切り替えが早い。


「でも、どうやってあいつに連絡を取るんだ? どこをフラフラしてるかわからないぞ」

「街のギルドに登録はしてるだろうから、そこから連絡取ってみるよ」


 サディさんは私をベッドに降ろすと、頭を撫でてくれた。


「僕らの仲間に来てもらうから、もう少し我慢してね。きっと変なオバケも消えるよ」

「ナーガさんって、魔法使いなの?」

「そうだよ。リリアさんと違って、黒魔法使いだけどね」


 黒魔法使い!?





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