ポシェットの中から用意していたプレゼントを取り出す。
今朝、マドレーヌさんが萎れた花をキレイな押し花にしてくれた。
それを私が紙に貼ってリボンを通し、栞にした。
考えてたものとは違うけど、これはこれでステキなプレゼントになったと思う。
ピンクの花とクローバーで作った栞をお父さんに渡す。
「お父さん、今日はおめでとうございます」
「アリシア……!」
涙ぐんだお父さんに力いっぱい抱きしめられた。
「お、お父さん。栞がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」
「ありがとうアリシア。額に飾って一生大切にするからな」
嬉しいけど、栞なんだから使ってほしい。
やっとお父さんに解放してもらえて、今度はサディさんに渡す。
白い花とクローバーの栞。
「サディさんも、今日はおめでとうございます」
「僕にも? ありがとう、アリシアちゃん。宝物にするよ」
優しい微笑みが眩しい。
こんな笑顔を向けられたら、男女関係なくノックアウトだろうなぁ。
「ところで、どうしてお父さんのがピンクなんだ?」
「えーっと……お父さんってかわいいから、ピンクかなぁって」
「か……ッ!」
絶句するお父さんに、サディさんが笑い出す。
「わかるわかる。アルってかわいいよねぇ」
「はあ!? なにをどう見たらそうなるんだ!」
「魔王を倒したくらいなのに普段はヘタレだし、抜けてるとこあるしさぁ」
「誰が……!」
食ってかかろうとしたお父さんの額を、サディさんが指で突っついた。
「俺にからかわれてるとことか、かわいいじゃん」
「おーまーえー!!」
待って待って待って!
そんなわちゃわちゃするとか何のサービス?
尊い! 尊すぎてしんどい!
私がキラキラ……いや、たぶんギラギラした目で見ているのに気づいたのか、お父さんがゴホンと咳払いをした。
「アリシア、お父さんに『かわいい』と言うのは間違ってるぞ。かわいいというのは
、アリシアみたいな子に言うんであってだな」
「いいじゃん別に。っていうか、かわいい娘に言ってもらえるならなんでも嬉しいんじゃないの?」
「ま、まあ……それはそうだが」
サディさんのおかげで、なんとかお父さんは納得してくれた……と思う。
まさか
「お父さんは受けだからかわいいピンク!」
「サディさんはプレイボーイのドS攻めだから白!」
とは言えないもんなぁ。