しかし――――。
彼女以外というと、美奈先輩にお願いするしかないが……。それは危険な臭いがする。あの鋭い直感の持ち主が、何かを察知してしまう可能性は否定できないのだ。
『あんたが犯人ね!』
とでも看破されたら懲役一万年なのだ。俺はブルっと身体を震わせる。まだ生まれて数十年。一万年なんてとんでもない話だった。
「わ、分かりました。お願いします」
俺は深々と頭を下げる。今はもう星の未来を、この
「うんうん、まーかせて!」
シアンは
「それー! きゃははは!」
その
◇
目覚めると、そこは元いたログハウスの部屋だった。テーブルではドロシーとレヴィアが、コーヒーを楽しんでいる。
視線を移すと――――、ベッドには【俺】が横たわっている!
「へ……? なんで……?」
俺は戸惑いながら、猫となった自分の肉球を見つめた。
「猫の方が可愛いじゃない? くふふふ」
シアンの声には、気まぐれ娘の
「いやちょっと困りますよ!」
俺はシアンの胸元からピョンと飛び出すと、自分の眠るベッドへと跳躍する。
「あぁぁ……俺……」
すやすやと幸せそうに眠っている俺――――。
自分の寝顔を見つめながら、この
「こ、これはシアン様!」
レヴィアは突如として席から飛び上がり、深々と頭を下げた。その態度には、これまでに見せたことのない
「『様』なんて要らないよ。シアンって呼んで」
シアンは
「そんな、呼び捨てなんてとんでもございません!」
レヴィアの声は
「あれ? レヴィア様ご存じなんですか?」
ドラゴンの異様な態度に、俺は首を傾げずにはいられない。
「ご存じも何も、全宇宙で最強のお方じゃぞ、シアン様は!」
「宇宙最強!?」
俺はそのファンタジーな響きに思わず毛が逆立った。
「シアン様が本気になれば、全宇宙は一瞬で消し飛ぶのじゃ」
レヴィアの身体が恐怖に震える。
俺は言葉を失った。この
「一瞬じゃ無理だよ、ちょっと時間はかかっちゃうな。それに僕よりパパの方が強いよ。きゃははは!」
シアンは
笑って宇宙を消す話をする、気まぐれな存在。その
「わざわざお越しいただいて恐縮です……」
レヴィアの
「いやいや、楽しいもの見せてもらったお礼だよ。きゃははは!」
「た、楽しいもの……?」
レヴィアの表情が
「スカイパトロールをあんなふうに回避するなんて前代未聞だよ!」
「えっ!?」
レヴィアの身体が、まるで氷像のように凍りついた――――。
「一部始終見られてましたよ……」
俺は諦めの
「ぜ、全部!?」
「懲役いっち万ね~ん! くふふふ」
シアンは人差し指を高々と突き上げ、嬉しそうに笑った。