ギュッと俺を豊満な柔らかさに包みながら、シアンは無邪気な喜びを声に乗せる――――。
「やっぱり人が入ってると柔らかいわぁ」
さらに強く抱きしめられ、俺は混乱の渦に巻き込まれていく。布一枚を隔てたマシュマロのような柔らかさが、猫となった身体の感覚を鋭敏に刺激した。甘く爽やかな香りにも包まれ、理性がブチブチと音を立てて壊れかけていく――――。
「ちょ、ちょっとすみません。刺激が強すぎるのですが……」
「あら、ゴメンね! きゃははは!」
シアンの
『くふふふ。頑張れ頑張れ』
死地を
「あ、あのぉ……」
「ん? なに?」
「もしかして……。見てました?」
「ぜーんぶ見てたわよ! くふふふ」
まるで子供が秘密を明かすような
「えっ!? そ、それじゃ……」
「シャトルの詐取、投棄、サーバーの故意による損壊……。まぁざっと懲役一万年かしらねっ」
シアンは
「いっ、一万年!?」
驚愕の余り、全身の毛が逆立つ。死刑より重い刑罰に、心臓が凍りつく思いだった。
「んー、まぁでも……」
シアンの視線が、まだ
「まぁ、女神様も多忙だから深追いはしないんじゃない?」
「えっ!? だ、黙っていてくれるんですか?」
「え? 懲役一万年になりたいの?」
シアンは
「とととと、とんでもない。秘密にしてください! お願いします!」
「はいはい。僕は面白いものが見られれば何でもいいからねっ! きゃははは!」
俺はシアンの
「でも……。未報告ってのもバレると面倒だからね。隠ぺいでもしておきますか……」
そう呟くと、シアンは瞳を閉じ、人差し指で空中に神秘的な光の
ボン!という
「おわぁ! た、た、た、大変だ! 第一種非常事態! 非常事態ぃぃ!」
男性は慌てふためいて叫び声を上げる。
「ったくもう! 何やってんのよ、しっかりして!」
美奈は
「くふふふ、パパごめんね」
シアンは
俺はこの東京のオフィスで展開される
◇
「実は、美奈先輩に蜘蛛退治をお願いに来たんですが……」
おずおずと切り出した俺の声には
すると、シアンの
「蜘蛛? あぁ、あの蜘蛛ね。あんなにデカいのは初めてだわ!」
シアンの声は、まるで珍しい玩具を見つけた子供のように弾む。
「い、いや、それで世界が滅びそうなんですけど……」
「まぁそうねぇ……。ちょっともったいない気もするけど……。僕がエイッて退治してあげよーう」
シアンは俺を再び柔らかな胸元に抱きしめ、頬ずりをしてくる。
「うわぁ! で、でもあの蜘蛛【物理攻撃無効】なんですよ?」
「きゃははは! 物理攻撃無効なら物理そのものをぶっ壊しちゃえば解決なんでーす! じゃ、行きましょ」
物理そのものを壊すとは一体どういうことだろうか? レヴィアすら