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第73話 死誘の音

「 “グゥロロラァ…!!” 」


「 “クギャギャッ…!!” 」


互いに威嚇し合うクギャと四足獣。体の大きさはクギャのがデカいが、四足獣にはまるで怯んでいる様子がない。


〝眠る熊 皆で触れば 怖くない〟…、強大な敵に挑む仲間の数だけ恐怖が薄れる…人も獣も心理は一緒か…。


フロン隊クズ共に調教されて命令に従わされてるってのもあるんだろうが、恐怖には勝てないとクギャの件で解っている。


となれば着実に1頭1頭潰していこう。数が減れば集団心理も解ける…徐々に恐怖が脚に絡み付く。


逃げ出す奴も居れば身動きできなくなる奴も出るだろう…。もしかしたらクギャみたいに寝返る奴も出てくるかもしれない。


数的不利な状況に変わりはないが…天秤はまだ大きく傾いてない…! 勝負を急がず…冷静に戦場を見渡していけ…!


「 “グゥロロロォ…!!” 」


「来るか…?! いいぜ…身の程を教えてやるよ…!」


クギャを警戒して慎重になった四足獣10頭の内、2頭が私に向かって急接近してくる。


クギャは私を守ろうと構えを取ったが、それを止めた。2頭程度なら1人でも余裕、ならば周囲への牽制を続けてもらった方が良い。


クギャに攻撃の影響が出ないよう、私は少し離れて衝棍シンフォンを構えた。どれだけの実力もんか試させてもらう…!


一切躊躇せず接近してくる2頭の内、1頭が思いっきり砂を蹴って跳び掛かってきた。もう1頭は変わらず駆けて近付いてくる。


上下から同時に攻撃し、片一方が止められても残った方がダメージを与えられる構図…中々の連携だ。


私は嚙み付く気満々に口を開けながら跳び付いてきた四足獣に狙いを定め、容赦なく頭部に震打しんうちを叩き込んだ。


それと同時に私は両足で砂地を強く蹴り、宙で体を横にして真っ直ぐ突っ込んできた四足獣を跳び越えた。


着地隙のロスを減らす為に跳び前転のように着地し、すぐさま衝棍シンフォンで砂地を叩いて砂を巻き上げた。


砂の壁が私と四足獣を隔て、互いの姿を隠す。余程のバカでなきゃ跳び込んではこないだろう…それを信じて私は攻撃に出る。


さっき着地した時に拾っていた石を放り、それを衝棍シンフォンで打ち付けた。細かく砕けた石の破片は、巻き上がった砂の中に消えていった。


“──キーン…!!”


さっき震打しんうちを叩き込んだ個体が、真横から懲りずに跳び掛かってきた。前脚を振り下ろして鋭い爪で切り裂こうとしてきたが、〝音〟のおかげで防御は容易。


衝棍シンフォンでしっかり受け止め、下手な事をされる前にがら空きの腹部に蹴りを入れた。側面から背中は外骨格が覆っているが、腹部はかなり柔らかい。


蹴られた四足獣は初めて怯んだ様子を見せ、砂地に落下してすぐに私から距離を取った。やがて巻き上げた砂も晴れ、再び睨み合いが始まった。


今の短いり取りの中でそこそこの収穫はあった。まずは奴等の防御力、あの外骨格の硬度は…直感だが前に遭った黄棘狼オオカミよりも硬いな…。

※第51話登場〝黄棘狼おうきょくろう アクスヴォル〟


それに耐久タフネスもある…。回避を兼ねていたとは言え…震打しんうちを喰らってから再度攻撃を仕掛けるまでが速い…、かなり丈夫タフだ…。


だが腹部は反対にかなり柔い、ただの蹴りで怯む程に弱点なのだろう。震打しんうちを一発でも当てれば、恐らくそのままお陀仏だろう。


それに変わった能力なんかも無いと見た。クギャや黄棘狼オオカミと同様、能力小細工など必要としない…生来の肉体に充分生きられるスペックが備わっている生物タイプ


ある意味一番厄介ではあるが…群れを成す系は個々の強さがそこまでじゃない場合が多い。群れの統制を崩せれば、突破もそう難しくはない。


「クギャ…! そっちはどう…」


「 “クギャー!!” 」


「大丈夫そうだな…」


クギャの方に目をやると、私が2頭を相手している間に…クギャは残りの8頭を相手取っていった…。それも想像以上に豪快な戦い方で…。


四方から4頭同時に攻撃を仕掛けられるも、翼を広げて上にふわりっと回避し、そのまま前脚で2頭を踏ん付ける。


更には1頭を尻尾で薙ぎ払い、残りの1頭に噛み付いて遠くへぶん投げた。なんとまあ豪快で清々しい戦いっぷり…流石は偽竜種レックス…。


こんだけれといて…何故一度は私に怯えたんだコイツは…? それじゃ私がよっぽど化け物みたいになるじゃないか…、やめてくれよまったく…。


とりあえず心配は要らなそうだな、私はこの2頭を相手し続けよう。弱点が分かった以上そこまで手こずる相手じゃないし。


2頭は今も様子を窺っていて、さっきとは打って変わって慎重になっている。となればこっちからガンガン攻めてやろう…! 考える暇は与えない…!


「── “ーーーーーっ…!!” 」


「あんっ…? 何してんだアイツ…」


攻める前にフロンの方にチラッと視線を向けると、フロンは大きく口を開けたまま立っていた。声を発するでもなく、何かを食べるでもなく…ただ口を開けて立っている…。


私は何か良からぬ予感を覚え…踏み込もうとした脚を止めた…。性根の腐ったハイエナ女のことだ…無意味な行動をするとは思えない…。


「 “ギャギィ…?! ギィィ…” 」


「クギャ…?! どうしたクギャ…?!」


さっきまで豪快に暴れていたクギャは突然…頭を下げて苦しんでいるような素振りを見せた。身を捩りながら頭を振り…明らかに様子がおかしい…。


四足獣はそんな苦しみ悶えるクギャに襲い掛かり、容赦のない攻撃をし始めた。連携して前脚後ろ脚を爪で引っ搔き…1頭は背中に跳び乗って牙を突き立てる。


クギャは一層苦痛の声を上げるが…謎の苦しみのせいでまともに抵抗ができていない…。このままじゃクギャが危ない…。


私は目の前の2頭を無視し…クギャの助けを優先する。背を向けるのはハイリスクだが…クギャを見殺しにはできない…!


け…!〝震打しんうち〟…!!」


「 “ガァララッ…?!” 」


クギャの翼を足場に背まで跳び、背中に嚙み付いている四足獣を引っぺがした。このまま脚に群がってる四足獣奴等も追い払い…一旦クギャを退かせなきゃ…。


だが背後から間の悪い〝音〟が響き…振り返るとさっきの2頭が跳び掛かってきていた…。嚙み付こうしてきた四足獣の口に、衝棍シンフォンの柄を押し当てて防御…。


だがやや低く跳んできた1頭の鉤爪こうそうに…右脇腹を切り裂かれた…。鋭い痛みが走り…患部が焼けるように熱くなる…。


だがぐっと堪え…私は右手でナイフを取り出し、衝棍シンフォンに嚙み付いている四足獣の腹部を素早く3回刺して蹴り飛ばした。


「クギャ…! 後ろに飛べ…!」


「 “ク…ギィ…!” 」


今もクギャは苦しそうにしているが、何とか私の指示を聞いて翼を羽ばたかせる。勢いよく後方に飛んだ風圧で、足元の四足獣は砂の上を転がった。


しかしクギャも後ろに飛ぶことはできたものの…空中でバランスを崩し、間もなく落下した。背に乗っていた私も同様に砂地に投げ出された…。


一応受け身を取ってなんとか無傷…。すぐにクギャのもとに駆け寄ったが…起き上がったクギャは苦しんでいなかった。


さっきまであんなに辛そうにしてたのに…どうなってんだコイツは…? ──いやフロンアイツか…フロンアイツが何かしやがったな…。


「オマエは少し休んでろ…! 問題ないようなら加勢に来い…!」


「 “クギャッ…!” 」


残り9頭を相手しながら…クギャに何が起きたのかを考察しよう。恐らく…いや間違いなくフロンの能力が関係している。


フロンが何かしらのハイエナの獣族ビケであるのは昨日遭った時に分かったから、ニキが持っていた動物図鑑に載っていたハイエナ数種の情報は頭に入れたが…コイツは何だろうか…。


図鑑に載ってたハイエナの中で一番近いのは〝狂混鬣犬ディラントハイエナ〟か…? 強烈な電磁波を発生させ…周囲の生物に悪影響を及ぼすハイエナ。


電磁波による症状は目眩に頭痛にetc…、クギャが苦しんでた様子からしても当てはまる。だが確定じゃない…気になる点もある…。


確か図鑑の説明じゃ…あくまで電磁波は外敵から身を守る為のもので、効果が及ぶ範囲はそこまで広くはないと書かれていた。


私もクギャもフロンには近付いてないし、クギャの近くに居た私に何の影響もなかったのはやや不自然だ…。


訓練で電磁波を自由に操作できるようになったのか…それともまったく別のハイエナなのか…。いずれにせよ不用意に近付くのはリスクだな…。


「すぅー…── “キィィィィィィィィ…!!” 」


「うあっ…!? なんだ…これ…?!」


突如金属を引っ搔いたかのような耐え難い不快音が鳴り響き…私は思わず耳を塞いだ…。全身の毛が逆立つような…気持ち悪い寒気が体を走り抜ける…。


片目を開いてフロンの方に目を向けると…さっき同様に口を開けて私に顔を向けていた…。どうやらこの不快音はアイツが発してるらしい…。


“──キー…”


「…っ! クソッ…聞き取りづれェ…!」


不快音の奥から微かに聞こえてきた〝音〟…。様子のおかしい今がチャンスと見てか…1頭が背後から攻撃を仕掛けてきた。


間一髪でなんとか攻撃を躱し…私は衝棍シンフォンで殴り飛ばした。だが上手く力が入らない…寒気で体が思うように動かない…。


他の四足獣共も釣られて一斉に私に向かってくる…。一向に止まない不快音の中…どれだけ攻撃を捌けたものか…。


震える全身に力を込め…どうにか四足獣の猛攻に耐えようと身構えると、突然私の頭上に影が現れ、直後クギャが私のそばに下りてきた。


クギャは四足獣共を追い払い、私を守るように立ち回ってくれている。ありがたいが…何でオマエは平気なんだクギャよ…。


「おっ…? 不快音が止んだ…──流石にずっとは息が続かないみたいだな…」


とは言えまたすぐにやってくるかもしれないし…攻めるのは慎重にならないといけないな…。タイミング次第では思わぬ負傷に繋がる可能性もあるし…。


「すぅ…── “ーーーーーっ…!!” 」


「ギャギャッ…?!」


「またか…?!」


私には何も聞こえてこないが…クギャはまた頭を下げて苦しそうにしている。超音波ってやつか…? 随分器用な喉だこと…。


ひとまずクギャが苦しんでいる間は私が四足獣を受け持ち、襲い来る四足獣共を薙ぎ払っていく。不快音から解放されて体が軽く感じる、むしろ調子が良く思える。


四足獣を相手しながらついでに石を拾い、四足獣共の猛攻が緩んだ隙に苦しむクギャを踏み付けて上に跳んで、フロンに狙いを定めた。


「〝揺撃ゆりうちつぶて】〟…!!」


「〝百牢鞭ひゃくろうべん〟…!!」


細かく砕けた石の破片は矢となりフロンに飛んでいったが、フロンは高速で鞭を振ってそれらを打ち落とした。


ムカつく奴だが…流石に手練れだな…。自分周囲を囲むように素早く正確に鞭を振るう…、見るからに鞭使いの中でも上澄み…。


突破するのは容易じゃないな…無理じゃないが。むしろ面倒なのはあの音…いや〝声〟か…。肉体的なダメージは皆無だが…避けれないぶん質が悪い…。


慣れるのには時間を要するだろうなあれは…。私は〝能力チカラ〟の関係上…音関係への適応力が人並みよりも遥かに弱いから…。


だがこっちが攻撃を仕掛ければ、フロンもまたそれを防ぐ為に攻撃をする。高い集中が必要だ…悠長に妨害なんてしてられねェ。


現に今も私の攻撃は防がれたが、クギャの様子が元に戻った。私には聞こえないが…超音波を発していられなくなったんだろう。


っとは言え面倒で厄介なことに変わりはないし…早いとこ手を打っておくか…。


「攻撃したらキメェ声が止まったなァ…! 止め方さえ解っちまえばこっちのもんだ…! 二度と通用すると思うなよ…!!」


「あらそう…? まだまだ効きそうだけどねェ…? まあいいわ、そう言うならもっと本気で邪魔して遊んであげる…! ── “チュイチュイチュイチュイッ…!!” 」


「あんっ…? 今度は何だ…?」


小鳥に齧歯類げっしるいを混ぜた様な奇妙な声…、今のところ私にもクギャにも特に異変は起きてないが…何が起きるのか…。


そう身構えていたが…異変はむしろ四足獣共の方に現れた。立ったまま痙攣し始め…頭を下げたまま小さく唸り声を上げている…。


「 “ヴォロロロゥゥゥ…!!!” 」


「オイオイ…何か随分様子が変わったな…」


痙攣が治まった四足獣は、壊れかけの人形のように首が小刻みに揺れ…開けっ放しの口からはダラダラと涎が垂れ続けている…。


私達とは明らかに異なる変化…ただ不快音に苦しんでるようには見えない…。知性もほとんど感じられない…、まったく別の生き物に変わった印象だ…。


異様な雰囲気に圧され、反射的に半歩退くと…それに反応して目の前の四足獣が襲い掛かってきた。だがこれまでとは違い…攻めてきたのはたった1頭だけ。


私は身を屈め…安易に跳び掛かってきた四足獣の懐に潜り込み、石突でクギャの方に突き飛ばした。私の完璧なパスを受け、クギャは爪で四足獣の腹を搔っ切った。


力なく落下した四足獣は…血色に染まった砂の上で息絶えた…。──何だか気持ち悪いな…、邪魔な敵ではあるが…これは流石に…──


四足獣共コイツ等に何しやがった…? 四足獣共コイツ等はテメェの手下だろ…?!」


「アタシが出せる声は何も不快音だけじゃない…生物を興奮状態にさせる声も出せる。四足獣その子達は急激な感情の昂ぶりで暴走しているだけよ、面白いでしょ…? ──それと手下じゃなくてね、こ・ま!」


駒…か…──やっぱりコイツはダメだ…憤りが吐き気みたいに込み上げてくる…。まさか出遭うとは思わなかったぜ…クソ両親と同じくらい反吐が出る奴と…。


冷静にならなきゃダメだな…、このままじゃ本当に殺してしまいそうだ…。もうそういう存在だと受け入れよう…、対敵しているのが相容れない生命体だと…。


「さァアンタ達いきなっ…!! どうせ死ぬなら派手に暴れ散らして、大いにアタシの役に立ってから死になさい…!」


「 “ヴォロロロォォォォ…!!!” 」


四足獣は大きな咆哮を上げ…私とクギャに向かって来た…。フロンの発言からして…もうコイツ等は助からないのだろう…。


急激な感情の昂ぶりによる暴走だ…四足獣共コイツ等も相当苦しい筈…。


たとえ私達を殺せても…暴走が治まると同時にきっと…。──哀れな操り人形共…せめて苦しみが長く続かないように私が送ってやるよ…──







「あららー、全部死んじゃったかー。でもまあ及第点かしらね、ちゃーんとアンタに傷を付けれてるわけだし…!」


連携が不可能になった四足獣達に対し…私とクギャは連携しながら確実に1頭ずつ倒していき、ようやく全てを片付けた…。


死に際の獣は意外と厄介なもので…倒し切るまでに若干負傷してしまった…。どれも軽傷ではあるが…塵も積もればなんとやら…、過信はできない…。


「かすり傷程度で大喜びとはめでたいな…! こっちには治癒促進薬ポーションもあるし、こんなんじゃ私のポテンシャルはまったく落ちねェぜ…? 護ってくれる兵も消えた今…次はテメェの番だぜクソエナ…!」


「あらそう…? じゃあかかってきなさいな、ほら早く…!」


フロンは手をくいくい曲げて、かなり余裕な態度で挑発をしてきた。私もよく挑発するからよく分かる…、まだ何かあるな…。


素人十八番の自信だけの挑発なら怖くないが…フロンこの女は狡猾でずる賢い…、無意味な挑発である筈がねェ…。


「ほらそっちの下僕ちゃんはどう…? 確かルーガに預けてた偽竜種レックスの1体よね…? 敵にビビッて寝返った臆病者には無理かしらねェ…?」


「 “ギィ…?! クギャギャッ…!!” 」


「オイ待てクギャ…! 挑発に乗るな…!」


バカにされて腹が立ったか…クギャはフロンの安い挑発に乗ってしまった…。翼を羽ばたかせ、低空飛行で余裕ぶるフロンに向かっていく。


「ンフフッ…── “キシャアアアアアッ…!!” 」


「…っ?! クギャ戻れ…!! 上に逃げろ…!!」


私が叫ぶと同時に…クギャの真下から巨大なハサミが現れた。クギャは咄嗟に上方向に向きを変えたことで…辛うじてハサミに挟まれずに済んだ…。


ガチンッと閉じたハサミからは火花が飛び散り…その威力と硬度が窺える…。もしも呼び掛けが遅れていたら…クギャは真っ二つだったろうな…。


良かったよ…があって…。あの耳を裂くような鳴き声…ユク君と初めてポチを見に行った時に聞いた咆哮…。


「──アタシ昔は調教師をやっててね、これでも当時は優秀な稼ぎ頭だったのよ…? でも不祥事を起こしちゃってねェ…、酷い話と思わない…? アタシのおかげで良い稼ぎがあったんだから…客が1人死んでも大目に見るのが普通でしょ…?」


砂から突き出たハサミを皮切りに…砂に潜っている存在それがフロンの足元から少しずつ姿を見せ始めた…。


「それからは地獄だったわ…憲兵から逃げ隠れする生活…、自分がこの世で最も惨めな生き物に思えた…。でもバルバドス様が手を差し伸ばしてくれて、アタシは新しく生まれ変われた…! 自分の能力と狡猾さで七鋭傑しちえいけつにまで登り詰めた…!」


もう片方のハサミも現れ、徐々に全貌が見えてきた。竜胆色りんどういろの外骨格を身に纏う体と8本の脚…、あの時目にしたの姿そのまま…。


「だからこそ…バルバドス様の邪魔をする害虫は駆除しなきゃならないの。それこそどんな手を使ってでも…ね…!」


最後に巨大な尻尾が勢いよく砂から飛び出て…ようやく全身が砂から出てきた。前に見た個体よりもデカく見える…成体かな…?


フロンはサソリの背に乗って高みの見物…どこまでも自分の手は極力汚さないスタンスってわけだ…。本当に気に入らねェ奴…。


「第二幕の始まり始まり~! 無様な死に様を期待してるわよ人族ヒホの賊…!」

< 七鋭傑 〝擬鳴鬣犬エコーハイエナ〟の獣族ビケ Fulonne Biaフロン・ビアードhd >


「 “キシャアアアアアッ…!!!” 」

<〝魔獣〟 咎王蠍きゅうおうけつ ベラムスコーピオン >



──第73話 死誘の音〈終〉

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