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#015. 初テイム


 そうそうレベル4になったので、スキルポイントを振らないと。

 アタックに全振りしてスキルLv8にしてみた。


 スキル 残り0/19sp

 ◎Lv1 通常攻撃[Lv5/10][通常]

 ◎Lv2 休憩[Lv1/10][パッシブ]

 ◎Lv2 アタック[Lv8/10]

 ◎Lv1 採取[Lv5/30]


 どうせベースレベル5で転職して振り直しだと思うし。

 冒険者のまま続けるかもしれないけど。


 無限のスキル! どこまでも自由!


 というゲームに憧れがなくはないけど、実際には無限といっても似たスキルとか、有用スキルには限界がある。

 こういうスキルはあまり悩まなくていいというシステムも悪くはない。


「さてスキルポイント振ったから、テイムしてみるか?」

「そうですね、ルルちゃん」

「わ、わたしもー」


「みんな何テイムするの?」

「えっと、候補はなんがあるんだっけ」


 ・野良ニワトリ

 ・野良イヌ

 ・野良ネコ

 ・ハト


 この4つはペット枠だ。


 ・スライム

 ・ストラ

 ・ストルン

 ・ウリボー

 ・ワイルドボア

 ・ホーンラビット

 ・ウルフ


「今まで見た範囲だとこんな感じだね」

「なるほど」


 俺が仮想端末のメモ画面を見せる。


「今はやめて、もっと進んでからテイムするでもいいよ」


「わわ、わたし、スライム!」

「え、いいの?」

「うんっ」


 なぜかスライム推しのウタカさん。

 その真っすぐで悩みのなさそうな笑顔がまぶしい。


「ウタカがいいなら、いいんじゃないかな」

「うんっ」


「タピオカさんは?」

「私は、その、ストラ、かな」

「ふむ」


「ルルちゃんは?」

「俺は、ウルフ! と思ったが無理っぽそうなので、現状ではホーンラビット」

「うさぎさんね」

「おう」


 今はイノシシエリアなので、移動する必要がある。


「一番近いのはラビットかな」

「そうだね」


 ということで俺からだ。


「いるいる」


 ホーンラビット君たちが、そこかしこで草を食べている。

 こいつらは草食性なのだろう。


「では、いくぞ」

「うん」


 周りを見回してみる。

 あれ? なんか違和感が。


 ホーンラビットは沢山いるがみんな茶色か黒をしている。

 しかし右奥の1匹。


 白いホーンラビットがいる。


「あの右奥のやつだけ、白いんだけど」

「特殊個体なんじゃない?」

「そういえば、塔のホーンラビットも白かったわ」

「白いと強いのかもね、お兄ちゃん」

「よし、決めた。あいつにする」


 俺たちは茶を黒のホーンラビットをかき分けて、白いやつのところまで進む。


「さあ、雪見ゆきみ、俺のところに養子にきませんか!?」

「もう名前付けてる……」


『キュッキュッ』


 さてただ捕まえればそれでテイムではない。

 契約が必要なのだ。


 そのためには餌付けするか、屈服させて餌を与える必要がある。

 アイテムボックスから「テイムズの好物汎用」を取り出す。


「さあ、お食べ」


『キュキュッ?』


 クンクンと匂いを嗅ぐ、雪見ちゃん。

 ピクンと反応して、パクリ。


 もぐもぐもぐもぐ……。


「よっしゃあ、食ったぞ」


 >ホーンラビット(白)のテイムに失敗


「なに、失敗、だ、と?」


「もう一回餌を与えてみましょう。ある程度は確率なので」

「お、おう」


 テイムズの好物汎用を再び与える。


 もぐもぐもぐもぐ……。


 >ホーンラビット(白)のテイムに失敗


「おーのー」

「頑張れ、お兄ちゃん、まだ1個ある」

「そうだな」


 テイムズの好物汎用を与える。これでラストだ。

 妹たちに恵んでもらうという手は避けたい。


 >ホーンラビット(白)のテイムに成功


「契約しますか?」


 すかさずエリスが聞いてくる。


「よっしゃあ、いえーす。名前は雪見」


『キュッキュッ』


「かわいいですね」

「ええ、かわいいね」


 女性陣にも受け入れられたようだ。

 それからペット陣のゴールデンハムスター「よぞら」、黒白ネコ「ミルクティー」、ニワトリ白「アサヤケ」。


 ここにホーンラビット(白)の「雪見」が加わった。


「次はストラだね」

「そうですね、私の番です」

「お姉ちゃん、頑張って」

「はいっ」


 こうして来た道を戻り、ワイルドボアエリアを抜けて、ストラ、ストルンエリアに戻ってくる。


「さて、どの子にしますかね」

「白いのがストラだったな、確か」

「はい」


 白がメスのストラ、茶がオスのストルンだ。


「あ、この子にします!」


 俺には特に違いがあるようには見えないが、タピオカさんには何かあるのだろう。


「さあ、餌を食べてください」


『キュウキュウ』


 ストラの声とか、そういえば初めて聞いたな。


「テイム成功です。契約しますか?」


 おっとタピオカさんは一発OKだったようだ。

 さすが本人のカリスマ、魅力値が高いだけある。システム上はそんなパラメーターないけど。


 ストラがタピオカさんとじゃれ合って遊んでいる。

 なかなか和む。


「名前は、というか、ストラはストラって名前なんですよね?」

「そうだね……」


 種族名はストートなのでストラは確かに名前だ。


「じゃあ、ストラでいいよね?」

『キュウキュウ』


 ということでタピオカさんのストラが加わった。


「ささトリを務めるのは、我が妹、ウタカちゃーん」

「はーい」


 そのまま歩いて王都前まで戻ってくる。

 城門のすぐ前がスライムエリアだ。


「どの子にしようかな」

「そうだな、あいつなんかどうだ、なんかデカい」

「え、あの子? 確かになんとなく大きいね」


 スライムなんてみんなどっこいどっこいだけど、こいつは一回り太い。


「君に決めた。さあ、餌を――」


 プルンプルン。


 スライム君が餌を食べる。


「失敗だった。もう一回」


 スライム君がまた食べる。


 すると今度はスライムが妹にすり寄ってくる。


「成功したよ。名前はワラビね」


 水まんじゅうは、葛粉とワラビ粉でできている、からだと思うたぶん。


 新メンバーの雪見、ストラ、ワラビ。


「そのまま、その辺で戦闘していくか? それとも戻るか?」

「もう夕方だし、戻ろっか」

「分かった」


 そのまま西門を通って、王都ミルシーダへ戻ってくる。

 俺たちの後ろにはペットとモンスターたちも並んで、ずいぶん賑やかになってきた。


 ワイルドボアを倒したので動物の骨がけっこう溜まっている。


「またネックレス屋さんにいくか」

「はーい」

「うん」


 西門露店街のネックレス屋さんだ。

 よかった。今日もあった。


「こんにちは。今日は動物の骨のネックレスを合成してほしいんだけど」

「あ、はい。骨のネックレスですね」

「うん」


 動物の骨*20を渡す。


「では、合成します。『合成』」


 ぴかっと光る。


 おおおお、そこにはちゃんと骨のネックレスが置かれていた。

 前回は2連続ダークマターだったから、これはよかった。


「お、お兄ちゃん、やった、やったじゃん」

「ああ、成功だ。ちゃんと成功するんだな」

「ルルちゃん、おめでとう」

「ああ」


 骨のネックレスの補正は物理防御+10だ。

 スライムは攻防両用だけど。これは防御用。


「これは、買い取りでよろしいですか?」

「あ、はい」

「ありがとうございます」


 せっかく成功したけど、2つ装備できないので、完成品を売る。

 ネックレスの列に、ひとつ商品が追加された。

 俺たちの骨のネックレスだ。


 こうして素材を採取し、加工され、販売されるという風に、流通しているのを見ると、なんだか感慨深い。


 これも誰かが買ってくれて、それで使ってくれるんだろう。

 さてそろそろ0時だ。

 俺たちはログアウトする。


 ――いい貰い手に巡り合いますように。


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