さて突然だけどスキルポイントを振ろう。
Lv1の段階で表示されるガイドにはこうある。
▼観光ガイドブック
・Lv1 攻撃スキルを習得しよう
・Lv1 戦闘をしてみよう
さっきチュートリアルではスキルが使えたけどあれは暫定だったらしい。
スキルポイントが10spあり、それを割り振る必要がある。
▼スキル/冒険者
◎Lv1 通常攻撃[Lv0/10][通常]
ナイフ、素手などで攻撃する。低攻撃力。
冒険者Lv1の段階で振れるスキルはこれ1つだ。
つまりスキル攻撃はできない。
これを習得でsp1消費。残り9sp。
「これ全部振っていいよね?」
「いいですけど、生産スキルとか覚えないんですか?」
「共通なの?」
「そうですね。同じspで何を覚えるか割り振るんです」
「なるほ」
いや、さすがに採取くらい取っておくか。
「採取スキルは?」
「雑貨店で売ってますね」
「店売りなんだ」
「そうですね」
Lv1だけど1万6千TEAあるし、雑貨店向かう。
ハトが飛んで逃げていく。
ちなみにハトの名前表示は赤色。モンスター表示だ。
街中にはイヌとネコなんかも歩いていた。
イヌ、ネコはNPCなのかマーカーは緑色だった。
雑貨店に駆け込んだ。
生産スキルは以下の10種類。
値段は1つ10,000TEA。
・採取
・伐採
・採掘
・釣り
・鍛冶
・錬金
・合成
・料理
・工作
・農園
ひ、ひとつしか買えないだと!
まあいい、んじゃ採取で。
というか現段階だと他に選択肢がなさそう。
「採取ください」
「まいどありがとうございます」
くそ。雑貨店の店番のお姉さんが美少女だったから我慢したけど、店主の親父に文句いいたい。
もしくはシステム設計者。
美少女に笑顔で会計されて、俺もニッコリ笑顔を返す。
「はい、これ、オマケです」
「ありがとう」
なんかおまけを貰った。
飴だった。
口に放り込む。
「おいち」
イチゴの甘さが美味しい。
◆[確認]
料理が重複しています。効果を上書きしますか?
現在:サラダ MP+100/13分20秒
新規:アメ HP+50/20分
[はい] [いいえ]
ちょっとだけプラス補正だけど、まあいいんだ。
いいえを押しておくか。
よし、これでいいかな。
それでは「採取」を覚えます。
◆[確認]
『「採取」スキルの書物』を使用しますか?
スキルの仮習得ができます。
習得にはさらにスキルポイントが1sp必要です。
[はい(使用)] [いいえ]
「はい」
Lv0になっている採取スキルにスキルポイントを1sp振ってアクティブにする。
「残りのsp全部採取に振っていいかな?」
「5spくらいは通常攻撃に振ったほうがいいと思います」
「そうなの?」
「はい。通常攻撃Lv1だと攻撃力の倍率が低いので、苦労しますよ」
「なるほど」
ということで「通常攻撃Lv5」「採取Lv5」で10spにする。
「そういえばスキルの振り直しは?」
「スキル再初期化の書物が必要ですね」
「それは?」
「全モンスター共通低ドロップ、またはトレードですね」
「世知辛いね」
「ええ、まあ」
よし準備は整った。
いざゆかん、異世界のフィールドへ。
町をずんずん進んで、門を通り外へ。
初期装備の「Lv1 ナイフ」「Lv1 初心者アーマー」で草原へと繰り出す。
「広い」
「そうですね。かなり広いです。ずっとつながってます」
この広大なマップが全部つながってるとか、すごいな。
そこかしこで初心者の冒険者とスライム、ストラ、ストルンが戦闘しているのが見える。
それからウサギ、小さいイノシシ。
さながらアフリカのサバンナみたいな感じに、沢山の動物?のようなモンスターが
あ、新着マークがいつの間にかついてる。
▼観光ガイドブック
・Lv1 攻撃スキルを習得しよう Clear[完了]
・Lv1 戦闘をしてみよう
忘れてた。攻撃スキルを取ったからクリアになってた。
>「攻撃スキルを習得しよう」完了。10ジェム。8000TEA取得
というか、先にこれ取れば採取以外にも買えたのでは。
ぐぬぬ。
まあこういう回り道も悪くはない。
Lv1 スライムがいる。
「えい!」
攻撃開始。
う、チュートリアルでは自分のステータスが上がっていたのか、このスライムのほうが強い。
スライムが体当たりしてくるが、何とかかわす。
再度攻撃。
それを数回繰り返す。
「やった、勝った」
「はい、やりましたね」
俺の周りを妖精のエリスが出てきて回っている。
ドロップは「スライムの欠片」というアイテムだ。
おそらく換金アイテムなのだろう。
こういうゲームでは、ユーザーでは生産で使わないくせに換金には使える謎アイテムがよくある。
「よし、次」
俺は近くにいるスライムを次々と倒していく。
なんか運動している気になって、健康に良さそうだ。
実際には体は寝ているので、あまり健康にいいとはいいがたい。
ただ完全な睡眠ほどではないにせよ、若干睡眠に近い効果があるらしい。
推奨はされていないけれど、ゲーム内で寝ることもできる。
一部の騒音で周囲がうるさい地域では、VRで寝ることも検討されているとか、なんとか。
この辺は入口なのでスライムばかりいる。
もう少し向こうへ行ってみる。
今度はストラ、ストルンが多くいる。
オコジョだけあって、思ったよりはすばしっこい。
ただし本物よりはよほどどんくさいのだろう。
ストラがメスで白、ストルンのオスで背中が茶色だ。
可愛いがこれでもモンスターなので、襲い掛かってくる。
通常ドロップ以外に「天の川の
これは7月イベントの収集アイテムらしい。
何匹も倒していたその時、ついに初レアドロップが。
>ルルが「ストート
「うおおおお、レアドロップだ。なんだこれ」
「おめでとうございます。これは珍しいですね。ストート帽子です。耳が付いてて可愛いんですよ」
「ほんとだ」
ちなみにストートとはオコジョのことだ。
俺がアイテムボックスに強制収納されていたレアドロップを実体化されると、動物の顔の形をした帽子が。
ωになっている口元、黒いつぶらな瞳、三角の耳、ふわふわした毛、そういう帽子だった。
女の子には似合いそうだ。
幸い俺は現在、女の子なので。
「被る」
「可愛いですよ、ルルさん」
「ありがとう、エリス」
やはりこういうものはある。
女性アバターにしておいてよかった。
俺みたいな普通の残念顔が可愛い帽子とか絶対に笑われるわ。
「もう一個くらい出ないかな」
「さあ、戦闘と運しだいですね」
「だよね」
俺はその後も、ストラとストルンと戦闘を続けまくったが、全くレアドロップは出なかった。
代わりに通常ドロップである屑魔石、ストートの
通常ドロップも必ず出るわけではなく体感20%くらいだろうか。
ワイルドベリーもあまり生えていない。
5個ぐらいが1本の低木に実っているけど、あまり木自体がない。
それらしい木があっても、実がない木もある。
おそらく他のユーザーが取ってから時間が経ってないのだろう。
やっぱりビギナーズラックだったらしい。
「全然出ないじゃん」
「ストート帽子はレアですから」
「ぐぬぬ」
レアアイテムはやはりレアアイテムだった。
そうは問屋が卸さないというやつだ。
欲しくなると出ないという、物欲センサーともいう。