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#002. チュートリアル


 俺は設定部屋から、チュートリアル島へと飛ばされてきた。


「ここがチュートリアル島です」

「ああ」


 ふむ、なるほど。


 日本とさほど変わらない島。一般的植物、一般的な木が生えている。

 ここは平地で少し先には海が見える。

 反対側は山部分が見える。


 島、なのだろう。


 チャラン。

 効果音だ。何かを取得したような。


 ・HPポーション30%[イベント]*20

 ・MPポーション30%[イベント]*20

 ・即時復活ポーション30%[イベント]*10

 ・復活の結晶小30%[イベント]*5


 お、さっそくの支給品だろう。

 イベントとついているので、チュートリアル専用品だと思う。


 冒険者と視界の隅に表示されている。


「どうも、引き続きガイド妖精ルルコの妖精エリスです。チュートリアルはじめますね」

「たのむ」


「まずあなたは冒険者です。これはレベル5で転職可能なので、それまでに考えておいてください」

「ああ」


「ちなみにこちらが一次転職のリストとなっています」

「どうも」


 ・冒険者

 ・ファイター

 ・メイジ

 ・アーチャー

 ・ヒーラー

 ・魔法剣士

 ・アルケミスト

 ・テイマー


 以上8種類。まあ、平均的といえば平均的。

 これは一次職なのであとで二次職でさらに増える。


「冒険者のままレベルを上げて、冒険者の二次職になることもできます」

「なるほど」


 つまり冒険者はいわゆるノービス、無職とは違うんだね。


 俺が目指すところは「無難なノーマルプレイを極める」と決めている。

 まず生産系のアルケミストと特殊なテイマーは除外。

 あとはロールの好みだけど、どうしたものか。


 一番無難で初心者向けとされるのはたいてい、ファイター系だけども。


「では始めます」


 水色のスライムが召喚されてくる。

 見た目は水まんじゅう。


「とりあえず、職業は今決めなくていいですよ」

「うん」

「攻撃には『通常攻撃』と『スキル攻撃』があります」

「ああ」


 いつの間にかあった、ナイフをアイテムボックスから出して装備する。


 普通に斬り掛かると「通常攻撃」だ。

 それから「アタック」「ダブルアタック」というスキル攻撃がある。

 比較的地味だが、剣系の攻撃技だ。

 ナイフ攻撃に青白い軌跡のエフェクトが表示されて、なるほどゲーム的だった。


 ストラ、ストルンというモンスターも出てきた。

 このゲームにおけるオコジョのマスコットらしい。


 そしてポーションの使い方を教わる。

 原始的に飲むらしい。他にも掛けたりしても使えるが、効果が遅い。


「NPC傭兵さんです」

「はい。傭兵のミルクです」

「どうも、傭兵のミラです」


 女の子の傭兵さんだ。可愛い。

 傭兵さんがスライムと戦う。


 傭兵さんの周りにはゴブリンが4匹。

 戦闘を始めたけど、傭兵さんはやられてしまう。


 ゴブリンはターゲットを見失って、ちょっと向こうで休憩していた。


「大変です。傭兵さんが戦闘不能になってしまいました。復活の結晶小を使って生き返らせてあげてください」

「わかった」


 なるほど、俺が「復活の結晶小」と言われるアイテムの小瓶を取り出し、傭兵さんの上でふたを開け中身を振りかけると、傭兵さんが復活した。


「ありがとうございます。今のはHP30%なので、続けてポーションを飲みますね」


 傭兵さんがポーションを飲んでHPを回復させた。


「復活の結晶は他人を復活させるアイテムです。自分は復活できませんので注意してください」

「はい」


「チアリング!」


 傭兵さんが魔法を唱える。


「これはステータス上昇の補助魔法です。こういうのをバフといいます」

「バフね、うん知ってる」


 今度は俺を含めて、ゴブリンを叩く。


「勝利です!」

「ああ」


 次にはスライムキングが召喚されてきた。


「これは! なんてことでしょう。ボスが出現しました」

「あ、はい」


 ちょっとエリスの台詞が棒だが、まあいい。


「スライムボンバー!」


 ボスがいきなり魔法を使ってくる。

 これの直撃を受けて俺は戦闘不能、いわゆる死亡状態になる。


「うっ、いきなりですか」

「おっと! 死んでしまいました。ささ、即時復活ポーション小を使いましょう! ちなみに『即時復活ポーション』はアイテムショップで売っていますのでご贔屓ひいきに」


 このゲームは開始31日無料だけど、その後は31日で500円の月額課金とアイテム課金のハイブリッド制だ。

 で、自己復活系ポーションは例にもれず、有料らしい。


「ジェムで買える物以外に、闘技場などのポイントでも買えますので、安心してください。取引も可能です」

「ああ」


 なるほど。課金アイテムだけど、取引もできると。

 だからちょっと高いけど他者とトレードで手に入れることができると。


 即時復活ポーション小を使って復活する。

 HPは30%だ。


「くそお、うりゃあ」


 攻撃を加える。NPC傭兵さんもヒールやチアリング、それから攻撃で支援してくれた。

 そうしてなんとか戦闘に勝利を収めた。


「ボスを撃破しました! 勝利です! 以上で戦闘パートのチュートリアルは終了です。お疲れさまでした。続いて生産チュートリアルですが、受けますか?」

「ああ、頼む」


 俺は敷かれたレールを進む、無難プレイ、通常ノーマルプレイ男なので。


 NPC傭兵さんとお別れして、続きへ。



  ◇◇◇


 打って変わって、平和になった。


 生産系アイテムをいくつか取得する。


 まずは畑に「肥料」を使用して耕す。

 5分で育つ、即席トマト、即席レタスを植えて、水をやる。


 育つのを待つ間に採取のチュートリアルも受けられる。

 すぐ近くにはワイルドベリー、ミント、アクリル草が生えているので採取する。


 ワイルドベリーなどは採取ポイントとかいう謎のものではなく、普通にマップ上に自生している。

 それを摘み取ると「採取判定」になる。


 >ルルがワイルドベリー★1の採取

 >ルルがミント★1の採取

 >ルルがアクリル草★1の採取


 とシステムログが流れるので、そういうことなのだろう。


「このアクリル草、採りまくってもいいの?」

「いいですよ」


 まだ十本ぐらいだがこの辺には群生している。


 >ルルがアクリル草★1の採取

 >ルルがアクリル草★0の採取

 >ルルがアクリル草★1の採取

 >ルルがアクリル草★0の採取

 >ルルがアクリル草★0の採取

 >ルルがアクリル草★1の採取


 う。勝率は3分の1くらいか。

 ちなみに★0はゴミである。料理の材料などにはできない。


 それから今度は沢から空いたビンに「水」を採取してくる。


 採掘、伐採、釣りのチュートリアルもできる。

 これはスキップしてもいいそうなので、俺はスキップした。


 畑に戻ってくると、トマトとレタスが収穫できる。

 これもトマトの木、地面に生えたレタスを「収穫」コマンドで直接取る。


 無料レンタルの簡易料理台を使い「トマト」「レタス」「ワイルドベリー」「ミント」を「料理」すると「サラダ」をゲットした。


 >ルルが「サラダ★1」の料理に成功


 ふう、また★1だが。


 料理「サラダ」を食べると「MP+100/20分」のバフがつく。


「う、うまい」


 普通の野菜だが、かなりおいしい。

 夢中でサラダを食べた。


 アクリル草と水を簡易料理台で「錬金」して「HPポーション30%」を作成する。

 錬金釜ももちろんあるんだけど、料理台でもできる。


「以上で、終了です。お疲れさまでした」


 これで初回に限り「ガイド妖精ルルコお試し10日」が貰える。

 このお試し券は取引不可アイテムらしい。


「ルルコお試し券を今すぐ使用しますか? 今すぐ使うと、ワタシをそのまま冒険に連れていけますよ」

「キャンセルすると?」

「ワタシは、その、このまま、役目を終えて、世界から、消えてしまいます。ぐすん」


 涙ながらに訴えてくる。

 なんてゲームだ。


「わかった。そのままお試し券を使うよ」

「ありがとうございます。好きです、ご主人様。契約完了です!」


「それでは、ミルバスタン王国、王都ミルシーダへ転送いたします」

「よろしく」


 王都の噴水広場に飛ばされる。


 俺たちの冒険が始まるぞ。


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