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アリストーン・オンライン ~俺は無課金ノーマルプレイを極めてみせる。何があっても絶対にだ~
滝川海老郎
ゲームVRゲーム
2024年08月30日
公開日
55,951文字
連載中
世界初フルダイブVR装置「アリスシステム」これを用いた公式RPG「アリストーン・オンライン」が発売になった。
これをやらない手はない。主人公は男性だが女性アバターを使ってゲームを開始する。
ガチャを使って右往左往したり、敵を倒してドロップに一喜一憂したりとゲームを楽しむ。
そうしうこうして少しずつ攻略を進めていく。

#001. アリストーン・オンライン

 世間では憂鬱な月初めの月曜日なのだろうが、俺は朝からにんまり笑顔だ。

 俺はついにこの日がきたことに感動している。

 世界初フルダイブVR装置「アリスシステム」が2047年2月に発売されてから5か月。

 今日7月1日は待ちに待ったフルダイブVRMMORPGが配信開始になる。

 その間に、予約の抽選に当選し無事にハードは入手していた。


 ソロ用PRGなどをプレイして感覚をすでになじませてある。

 しかし俺がやりたいのはMMOなのだ。


 広大なオープンワールドをみんなで生活しているかのようにプレイしたい。


 高校から下校して家に帰ってきた。

 着替えて、食事とお風呂にも入ったので、あとはゲームと寝るだけの状態だ。


 ヘッドギアを被ってベッドに寝る。

 アリストーンは日本時間午前9時にすでにオープンしている。

 世界標準時午前0時というやつだ。


 今は午後5時半過ぎになろうとしている。

 アリストーン・オンライン内は午後6時から午前0時までが昼間なので、限界まで快適に遊ぶには今しかない。


「リンクスタート」


 VR装置が起動してVR空間に移行。

 デフォルト空間、マイルームに俺はいた。


「システム。ゲーム起動、アリストーン・オンライン」


 俺の音声入力に応答して、ゲーム空間が展開されていく。


 異世界風のタイトル画面が表示される。


 アリストーン・オンラインは、アニメチューンというかアニメ風世界観なので、全体的にほんわかしていて、優しい雰囲気だった。


 このゲーム機は脳波などの身体チェックによる自動ログインだ。

 転売、複垢などの規約違反になる行為は、事実上することができない。

 もちろんbotなども作ることができなかった。

 かなり不正行為には厳しい目を向けていると聞く。


 ログイン先サーバーが「日本語サーバー」と表示されていた。

 このゲームは言語別になっている。

 自動翻訳システムも搭載しているが、ゲーム内のネイティブ言語が日本語なのが日本語サーバーなのだそうだ。

 それで各言語毎に独立している。



 言語を確定すると、設定用空間にログインしていた。

 いわゆるキャラクリ画面だ。


 1匹、というには失礼だろうか。

 15cmくらいの1人の妖精が浮いている。


 青髪、青と紫の蝶の羽が特徴的だ。

 緑のミニスカ妖精服で見せパンの白いかぼちゃパンツ。


「こんにちは」

「こんちには、妖精さん。名前は?」

「ワタシはガイド妖精ルルコ族の通称、エリスです。よろしくお願いします」

「ああ、よろしく」


「名前を入力してください。それからオプションですがIDをお願いします」

「わかった」


 俺は名前を入れようと思う。


 ID:@[ruru_highland]

 名前:[ルル______]


 俺の本名は足高あしたか琉亜るあ

 ちなみに高校1年生。

 ルアー釣りが、三度の飯より好きだという父親による。


 ルアではあまりにあんまりなのでルルにしようと思う。


「はい、次はキャラクターの性別を決めてください」

「わかった」


 俺は女性を選ぶ。

 ルルにしたのは、女性アバターを選ぶつもりだったからだ。

 理由は女の子になりたい、からではない。

 こういうゲームはアバターが女性用のほうが豊富だ。

 そしてそんなアバター装備に高補正がついていることがある。


 例えばこのゲームではないが「大きな赤いリボン」に「魔法攻撃+10」とか。

 男がリボンをしてはいけないわけではないけれど、女性にしたほうがいい。


 ごほん、いや、女の子になりたいわけではなくても、可愛い女の子操作したいじゃん、な?


 では、次。


 ちなみにこのゲームでは複数アバター制なので、別に男性アバターを用意して切り替えもできる。


「種族を選んでください」


 ・ヒューマン

 ・エルフ

 ・ダークエルフ

 ・ドワーフ

 ・キャットレイス

 ・ドッグレイス

 ・ラビットレイス

 ・ハーフリング

 ・ジャイアント

 ・エンジェル

 ・デビル

 ・マシンナリー


 以上12種類。

 アバターの種族は後で変更できないらしいので、ここでミスると、詰んだりする。

 俺はハイパー安全マージン人間なので、一番普通のステータスのヒューマンを選んだ。


 ちなみにステータスは


 ヒューマン

 攻撃力:★★★☆☆

 魔法力:★★★☆☆

 防御力:★★★☆☆

 俊敏性:★★★☆☆


 エルフ

 攻撃力:★★☆☆☆

 魔法力:★★★★☆

 防御力:★★★☆☆

 俊敏性:★★★☆☆


 ラビットレイス

 攻撃力:★★★☆☆

 魔法力:★★☆☆☆

 防御力:★★☆☆☆

 俊敏性:★★★★★


 マシンナリー

 攻撃力:★★★★☆

 魔法力:☆☆☆☆☆

 防御力:★★★★☆

 俊敏性:★★★★☆


 こんな感じ。

 それぞれのステータスの特性はこの段階で決まる。


 ゲーム内ではキャラクターのステータス割り振りはない。

 マシンナリーの魔法星ゼロは、ピーキーで怖いな、こういう地雷。


 俺は運動神経にそこまで強くないので、そういうバランスは遠慮しておく。

 職業はゲーム内で決めると特集記事で書いてあったので、後で決める。


 次は容姿だ。


「容姿をカスタマイズしてくださいね」

「ああ」


 デフォルトでは俺をヒューマンでカスタムした女性アバターになっている。

 黒髪、黒眼、ショートのキュートな感じ。

 ミニスカートの初心者風冒険者服を着ている。

 それが俺の目の前に浮かんでいた。


「髪の毛はロングのふわふわなやつ」

「ふわふわですね」


「金髪、緑眼で」

「はい」


「目はもう少し丸い感じ」

「ええ」


「もうちょっと美少女みたいな細長い感じの顔に」

「はい」


「背はどうしたらいい? 俺と同じ170でいいかな」

「えっと、ヒューマンの女性は150cmくらいが平均ですね」


「じゃあのっぽになっちゃうか、じゃあ150cmで」

「了解です」


 うん、俺好みの美少女だ。

 おっと重要な部位を忘れていた。


「おっぱいはDカップ」

「Dカップ、ですね? いいんですか?」

「おお」


 胸がBくらいからDにアップした。

 ちょっと巨乳ぐらいのバランスだ。


「仮適用してみますか?」

「はい」


 デフォルト男性アバターだった俺が、美少女に変身した。

 左側が鏡張りなので、そちらを向くと、俺が、美少女に、なってる!


「あ、なんかスカートがスースーするな……」

「大丈夫ですか? 今からでも男性アバターに戻せますけど」

「だ、大丈夫」


 変な感じがする。

 股間がキュンキュンするが、まあ、うん、大丈夫だろう。たぶん。


「そうですか」

「それより、あーあー、なんだこれ」

「はい、可愛い声ですね」

「俺、いや、ボ、ボク、女の子の声になってる」

「そりゃあ男性の声だったらびっくりですね。声も選択できるので、違うのが良ければ要望、伺いますよ」

「あ、うん。変な感じだけど、大丈夫」


 声が可愛い。俺が可愛い。


「お、おっぱいがある」

「そうですね」


 白い目で見てくる妖精エリスちゃん。


「おっぱい、おっぱいが……」

「Bカップにしますか?」

「あ、うん、いやしかし……やはりDカップで」

「はい。ちなみに800ジェムですけど、容姿の変更も後でできます。男性にはできませんが」

「わかった」


 うん、俺はゲーム内では、女の子、女の子で、プレイするんだ。

 大丈夫だろう。


「チュートリアル島はやりますか?」

「ああ、たのむ」

「わかりました」


「以上、確定でよろしいですか? よければ『確定』と言ってください」

「か、確定」


 俺は設定部屋から、チュートリアル島へと飛ばされたのだった。


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