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第119話 古代の……人工島??

 空中に浮いた人工島、もしそれが本当に存在するなら、今世界中で起きている大災害から人々を助ける事も可能だ。


 もし四大魔王やコンゴウが本気で大魔王ガーファと戦えば、世界のあちこちが滅茶苦茶になってしまう。

 そうなる前にもし人工島に人や魔族、動植物を避難させる事が出来れば、ノアの箱舟のような形でこの世界の全ての命を助ける事が出来るかもしれない。

 その人工島がラピュタかスペースコロニーか、どのような形の物かは分からないが、その人工島が古代の浮遊都市ならここにいる人達を全員助ける事が出来るはずだ。


「お願いです、その人工島について詳しい人に会わせてもらえませんか!」

「そ、そう焦らなくても元からそのつもりだったんだけどね、わかったわ」


 水の魔王ベクデルはオレと人工島に詳しい人を会わせてくれるそうだ。

 だがその前に、もし頼めるならベクデルやネクステラに瞬間移動の魔法で世界中の人を集めてもらおう。

 幸いまだナカタや大魔王ガーファはウユニの場所の事は知らないようだ。

 また、あの辺りは高い山の上の盆地なので、空から場所を確認したくても難しいので空爆は難しいだろう。


 それに大きな建物が無いので目標が見つかりにくいというのも言える。

 あの場所は堅牢な山脈に囲まれていて、天然の要塞ともいえるような場所だ。


 だから今のうちに集められるだけの人達を集め、見つけ出した人工島に避難する方が良さそうだろう。


 水の魔王ベクデル、それに空の魔王ヴォーイング、雷の魔王ネクステラ、彼等は人間や魔族関係無く、空爆された人達を集め、王都の外れに集めてくれている。

 今は人間と魔族が争っている場合では無く、お互いが協力して大魔王ガーファやナカタ、それにエシエス帝国の脅威から生き延びる事の方が重要だ。


 集まった人達は水の魔王ベクデルの力でウユニの塩の湖の場所に転移してもらっている。

 持てる人には食料を持てるだけ持ってもらって移動してもらっているので、向こうで食事に事欠く事は今のところは無さそうだ。

 それに元ボリディア男爵やコチャバン村の人達もこの状況下ならオレ達に協力してくれるだろう。


 人間だけでなく、魔族も全員が休む暇も無く、人間や魔族の焼け出された人達を探し出し、見つけ、そして送り届けたので大半の避難民を焼け出された町や村、施設から助け出す事が出来た。


 残念ながら亡くなってしまった方は、ネクロマンサーのカシマールがその魂を天に還してくれたようだ。

 また、五体のゴーレムも身体がボロボロになり限界を迎えていたので、魂を天に還す事になった。

 唯一残った超巨大ゴーレムのコンゴウには、移動魔法で転送後、ウユニに避難した人達の住める仮住居を作る為に働いてもらっている。


 そしてオレ達は全員でこの脅威をどうするかを話し合った。


「コバヤシ、大魔王ガーファ様が何故あの人間と一緒にいるのかは分からないが、一つ言えるのはお前の造った物を徹底的に破壊しているという事だ。お前、あの人間に相当恨みを買っているみたいだな」

「どうやらその様ですね、空から見た感じどうでしたか」


 空の魔王ヴォーイングがオレの問いかけに応えてくれた。


「そうだな、とにかく建物といった建物を徹底して破壊していたようだな。そこにいた魔族や人間を殺すのが目的という感じではなさそうだったか」


 アイツ、そこまでオレを敵視していたのか。

 しかし建築士として、自分が作った建物を執拗に狙って壊されるってのは、あまり気分の良いものじゃないな。

 だが、不幸中の幸いは大魔王ガーファと違ってナカタは人間や魔族を滅ぼすよりはオレの造った建物を破壊する方が目的になっているといったところか。

 おかげで犠牲者はそれほど多くは無さそうだ。


 だが、ナカタと一緒にいる大魔王ガーファの方が問題だな、今でこそナカタの言う事を聞いているようだが、もしそれが何かのはずみでタガが外れれば、ナカタよりもよほど恐ろしい世界の脅威と言えるだろうな。


 そう考えると、早く人工島の謎を解き明かし、ここにいる人達が無事に過ごせる場所を提供してやらないと。


 オレは水の魔王ベクデルに頼み、ウユニにいるという人物に会う事が出来た。


「わたしは古代の研究家、スイフト・オニール博士です。貴方がコバヤシ様ですね。それで、わたしに聞きたい事とは何なのでしょうか?」

「お願いです、貴方の知っている人工島の事をお聞かせいただけますでしょうか」

「人工島……ですか、わかりました」


 スイフト博士は、昔話に聞く古代の浮遊都市について調べていた学者だったらしい。

 だが、若い頃にウソつき呼ばわりされたり、変人扱いされてしまったので、あえてそれが本当であることを証明する為に自ら起業し、商人になり、王都や辺境の村相手の商売で実業家として成功した上で、その資金を使って研究を続けた努力家だと聞いた。


 何かそれに似たような話、昔話を実際にあったものだと証明する為に全財産を投じた実業家がいたって聞いた事あるな、確かトロイの木馬の遺跡を発掘したシューリマンだったっけ。


「コバヤシ様はわたしの話を信じてくれるですか?」

「信じるも何も、今この状況だとその人工島が本当にあったと仮定しなければ、世界の人々の危機なんだ、だから何が何でもその人工島を見つけ出し、ここにいる人達を避難させなければ!」


 このウユニには今、大魔王ガーファとナカタの攻撃から避難してきた世界中の人達が集まっている。


 確か、実際地球の人間を一か所に全部集めると、グランドキャニオンの一番下から頂上まで積みあがるくらいだと以前何かで聞いた事がある

 もっと確実な話だと、629平方キロメートルってのが正しい数みたいだ。

 まあこの異世界、そこまで数十億人いるわけではなさそうだから、本当に浮遊都市の人工島があれば全員避難する事くらいは可能だろう。


 今、この世界の命運を握っているのはオレと、考古学者のスイフト博士という事になる。


 もし古代都市の文献がただのおとぎ話だったら全員オシマイだ。

 だが、オレは実際に古代文明の産物であるコンゴウを見つけ出した。


 ――そうだ! ネクロマンサーのカシマールがいるなら、このウユニの地下の遺跡に眠る古代人の魂からその場所を聞き出せばいいんだ!


「カシマール、オレと一緒に来てくれないか。それと、誰か空を飛べる人にも来てもらいたいんだけど」

「我が行こう、お前達には色々と大きな借りがある。ここで返せなくては我の沽券に係るからな。それに、我の力なら何か敵が出てこようとお前達を守ってやる事も出来る」


 これは助かった! 世界最強ともいえる空の魔王ヴォーイングがオレ達の為に力を貸してくれるというのだ。


「ありがとうございます! ヴォーイング様!」

「礼には及ばん、早く行くぞ。このままでは人間も魔族ももたんのだ」

「ここを守るのはオレ様が引き受けてやるッ! だから安心して行ってこいッ!!」


 オレ達が遺跡の地下に潜っている間の人々や魔族を守ってくれるのは、少し傷の癒えた火の魔王エクソンが引き受けてくれると言ってくれた。


「あらあら。張り切るのはいいけど、人間が焦げちゃったら困るからねぇ、アタシがこの子達は守ってあげるわ」


 水の魔王ベクデルもオレ達に協力してくれるようだ。


「無論、儂もおるぞ。この戦いは人間や魔族関係なく、この世界におる全ての者があの大魔王のきゃつと戦う事になるのじゃからな」


 雷の魔王ネクステラ! そうか、ここに今世界中の人達全てと、魔族が集まったんだな。

 これほど頼もしい味方はいない。


「コバヤシ、私も王国騎士団長として、ここにいる人達を守って見せるのである。だから安心して遺跡を調べてほしいのである!」


 人間の方もフォルンマイヤーさんを中心に、全員が一丸になって避難民を守ってくれると言っている。

 そうか、人間と魔族が、本当の意味で気持ちが一つになったと言えるんだな……。

 三人の魔王がウユニに避難してきた人や魔族を守ってくれる、そして空の魔王がオレやカシマールと一緒に遺跡の中に入ってくれるなら、以前見る事や踏み入れる事の出来なかった場所に入るのも出来そうだ!


 オレ達は安心して遺跡の地下を目指し、突入した。

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