同郷のリオンと出会い落ち込んでいたティーラも、レオとスオウの優しさに触れて、少しずつ元気になってきた。ランタン祭りまで後1週間となり、レオさんの仲間もそろそろ集まると言っていた。
屋敷に来る仲間達は前にも言っていたが、腕が立つみんな冒険者ばかりで、自分のことは自分でやるとレオさんは話した。
「レオさん、お風呂の掃除が終わりました」
「ご苦労様。お湯の沸かしは僕がやってくるかな」
お風呂のお湯は魔法陣を触れば、すぐに適温のお湯が出てくる。お湯を止めるときはもう一度魔法陣に触ればいい。
「では私は夕飯の支度をします。レオさん、スオウさん、今日の夕飯は何が食べたいですか?」
「俺は肉が食べたい!」
「肉か、いいな」
二人とも肉が食べたいと言ったので、前に作って評判だった生姜焼き、唐揚げのどちらかにしようとティーラは決めた。
「ティーラ、俺も手伝うよ」
「ありがとうございます。生姜焼きか唐揚げにしようと思います」
「どっちもいいな。俺は生姜焼きを作るから、ティーラは唐揚げな」
「わかりました」
本日の夕飯の献立が決まり、レオさんはお風呂場に向かい、スオウさんと夕飯の準備を始めた。
翌日、レオさん宛に伯爵令嬢アミア様から手紙が届く。その内容はメイドのティーラには複数の男がいると、街で逢引きしている姿を見たと書いてあった。
「ティーラさんの逢引きって、スオウとリオンとか言う男だろう。知らない彼女から見ればそうなるか……」
「リオン様と会った日。どこかで、アミア様が見ていたのですね」
「そうみたいだな。あの視線、そいつだったのか。面倒ごとになるかと思って、無視して帰ったのがまずかったかな」
レオ、そんなアバズレな女、そこから早く追い出しなさい、とも書いてあるとレオさんは言った。そして、私をその屋敷のメイドとして雇いなさい、とも書いてあるそうだ。
「ひどい内容だ。なんて迷惑な手紙だ」
レオさんは「あのわがままな人に、メイドなんて務まらない」かえって邪魔になると。アミア様にお断りと、君が街で見たのは僕の友人と、知らない男性だと手紙に書いて送り返した。
すぐアミア様から、レオさんの友人をお茶に誘いたいと誘いの手紙が来たが、迷惑だと再度手紙を返した。
「俺は知らない人間と、お茶をする気はないな」
「知っていても、あの人とお茶はしたくないよ。一度したらしたで「私のことが好きなんでしょう」とか言って、しつこそうだし勘違いしそうだ」
「うわっ、そんな女やだな」
アミア様ならありうるかもと、ティーラも思ったが口には出さなかった。