翌日、レオさんがリコさんにたくさんの春服と夏服を貰ってきた。ティーラはお礼に、余った端切れの生地をハンカチに花の刺繍と、クッキーを作った。
「明日、リコの所に持って行くね」
「はい、お願いします」
次の日、レオさんはティーラが刺繍をしたハンカチと、クッキーを持って王都に向かった。ティーラはいつもの通り洗濯、掃除とメイドの仕事をこなす。ティーラが夕飯の買い物に出たあと、レオが仕事を終わらせ帰ってきた。
「ティーラさん? あ、この時間は買い物かな? 今、行けばティーラさんの買い物に、間に合うかな?」
レオは荷物持ちをするため、ティーラが向かった街に向かった。その頃、買い物中のティーラは明日の朝食のパンを買いに、パン屋へ向かっていた。
(明日の、昼食のパンも買っちゃおうかしら?)
手に八百屋で買った野菜を持ちパン屋に向かう、ティーラを呼ぶ声がした。振り向けばそこに、仕事帰りのレオさんがいた。
「レオさん、おかえりなさい」
「ただいま、荷物持ちに来たよ。どの店に向かっているの?」
「いまから朝食のパンを買いに、パン屋に行こうと思っています」
「パン屋ね。わかった、野菜を持つよ」
レオさんはティーラが持つカゴを受け取り、並んで歩きはじめた。ティーラは雇い主のレオさんに野菜カゴを持たせて少し焦ったが、レオさんが嬉しそうなので何も言わなかった。
パン屋で朝食用の食パンと好きなパンを買い、店を後にする。買い物は終わり、あとは屋敷に帰るだけなのだけど、レオさんはカゴとパンの袋を持ちティーラに聞きた。
「ティーラさん、ほかに何か欲しいものない? お菓子、アクセサリーとか石鹸とかさ、ない? ラベンダー採りの、お礼に買いたいんだ」
優しく見つめるレオさんに、ティーラは考えた。
アクセサリーはつけないし、石鹸はレオさんが使っている石鹸の香りが好き……となると、お菓子。
「甘いキャンディ……私、お菓子が欲しいです」
「お菓子か、いいね。じゃ、お菓子屋に寄って帰ろう」
レオさんの案内で寄った、街のお菓子屋にティーラは目を奪われた。その店は欲しい分、小売で売ってくれるみたいで店いっぱいのケースの中に色鮮やかな、キャンディ、チョコ、クッキーのお菓子が入っていた。
(好きなお菓子と可愛い缶、瓶を選んでお菓子を買うのかしら?)
初めてはいる店でキョロキョロ店内を見回す、ティーラをレオが呼んだ。
「ティーラさんこっち、こっち。ここで好きな缶を選んで、こっちにも綺麗なガラスの瓶をあるよ」
「レオさん、私このガラスの瓶にします」
ティーラは花柄の絵が入った、ガラスの瓶を選んだ。
レオはそれを見て「ボンボン入れかぁ。僕も自分用のを買おう」と言い、少し大きめなキャンディ柄のガラスの瓶を選んだ。