「誰しも、僕達を受け入れるとは思っていない……わかってるんだけど、悲しいね」
ティーラは悲しい瞳をするレオさんの手を握った。
それは大丈夫、側にいますと言う意味を込めて。あの日、レオさんが助けてくれたから今があるって、ティーラは彼に伝えたかった。
「ありがとう、ティーラさん」
「いいえ。私に笑顔をくれたレオさんだから、いつも笑っていて欲しいです。レオさんとこの国の色んなところを回りたい……採取のお手伝いもしたいです」
レオさんが笑ってくれたので、ティーラも笑った。
だが、大胆なことをしてしまったとティーラが手を話してもらおうとしたが、レオさんは握った手を離さなかった。
(とても大きな手。いつか、レオさんのモフモフの手も握りたいな)
なんて思っていた矢先、レオさんがキョロキョロ見回し始めた。そしてティーラに「ごめん」と謝り。
いつもの獣人の姿に戻ってしまい、一気にレオさんのシャツとスラックスがみちみちになる。
ティーラは驚いたが、いま思ったことが叶ってしまい、顔をゆるました。
「ああ、なんて言ったらいいんだろう……ごめん。いつもはこんな事ないのに、驚いたよね」
「大丈夫ですレオさん、気にしないでください。このモフモフの手も握りたかったから、私は嬉しいです」
頬を赤く染めて笑うティーラに、レオの頬もほんのり赤くなった。
その様子を馬車の近くで見ていた御者のコンは、口をポカーンと開けて驚いていた。
ようやく落ち着いて人型に戻ったレオさんは、スカー湖から帰りの馬車で謝ってばかり。
レオさんにとっても初めてのことで、彼自身も驚いているみたい。
「レオさんごめんなさい。私がいきなり、手を握ったから……驚かれたんです」
「違うから謝らないで。その、ティーラさんの手は小さくて可愛くって、いや違う。女性にと手を繋ぐのがあまりないからで、照れてしまったんだと思う」
ティーラはレオさんの意外な弱点を見つけてしまった、ような気がした。
(これって私だけが知っている、レオさんの秘密になるのかしら?)
翌日、冒険者ギルドに報告するため、王都に向かったレオは同じ獣人で服飾屋を営むリコに頼んで、手を濁らせてもらっていた。
「おかしいな。リコと手を繋いでも、昨日のようにならない」
リコもレオとコンから話を聞いていて、この実験に参加しているが……リコはあることに気付く。それはレオが屋敷に雇ったティーラが、レオの番だと言うことを。
「そのティーラって子、レオの番なんじゃないか?」
「いい香りがするから、そうだと思う」
誤魔化さず話したレオに、リコはよかったとホッとした。獣人の私達を人から守るために1人で、人の中に混じり仕事をするレオには感謝しかない。そのレオに番が見つかった、まあ一つ心配なのは、そのティーラが人間だと言うことだ。
「レオ。そのティーラって子は、レオの事をほんとうに怖がっていないのかい?」
「ぜんぜん怖がらない。とても、優しくしてくれる」
「だったら、大切にね」
リコはティーラさんにと春物、夏物の服をたくさんくれた。