「ティーラさん、本持ってきたよ」
「こんなにたくさん? ありがとうございます」
「まだあるから、読み終わったら教えて」
「はい」
夕飯後。お風呂を済ませて、ティーラは部屋でくつろいでいた。そこに、レオさんがたくさんな本を持って部屋へやってくる。ティーラが借りている部屋にはまだ荷物がなく、本棚の本にも料理の本後数冊並んでいるだけ。そこに借りた本が並び、本棚の一列だけ埋まった。
(クローゼットには着れる服が増えてきたし。本棚にも本がたくさんで嬉しい、何から読もうかな?)
本棚に並んだ本を見て喜ぶティーラを、レオは優しい瞳で見つめている。レオは、まだまだティーラを喜ばせたいと思うのだった。
「じゃ、用があったら隣にいるから」
「はい、ありがとうございました」
レオさんはそれだけ言うと部屋から出ていく。今日も書類整理で、夜遅くまで起きているようだ。いまから1時間くらい経ったら、コーヒーと焼いたクッキーを持っていこうと、ティーラは本棚から本を一冊選んだ。
(そろそろ1時間かな?)
読んでいた本を閉じて、部屋の時計を確認したティーラは、ソッと足音を立てずキッチンに向かった。キッチンのコンロに火をつけ、湯沸かしでお湯を沸かし、レオさん好みの甘めのコーヒーを淹れた。
「お茶菓子は何にしようかな? レオさんのお土産の一口ケーキ? チョコレート? それとも軽食を作る? そうだわ、今日焼いたクッキーを持っていこう」
淹れたてのコーヒーとクッキーをトレーに乗せて、レオさんの部屋に向かい、扉をノックするとすぐ返事が返ってくる。
「お疲れさまです。コーヒーを淹れました」
「ありがとう。ちょうど、何か飲もうと思ってたんだ」
そう言って読んでいた書類を執務机に置くと、レオさんは近くのソファに座った。ティーラはソファ前のテーブルに、淹れた手のコーヒーとクッキーを置いた。
クッキーはレオさんの好きな、卵白と生地を混ぜて焼くラングドシャ、サクッとした軽い食感が好きみたい。ティーラもラングドシャは好きで、村でよく焼いていた。
「ティーラさん、このクッキー美味しい」
「ほんとうですか、よかった。……あのレオさん、私も一緒に、ここでコーヒーを飲んでいいですか?」
「うん、いいよ」
ティーラは部屋で飲もうと淹れたコーヒーを持って、レオさんの反対側のソファに座った。