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第21話

「ティーラさん、本持ってきたよ」

「こんなにたくさん? ありがとうございます」

「まだあるから、読み終わったら教えて」

「はい」


 夕飯後。お風呂を済ませて、ティーラは部屋でくつろいでいた。そこに、レオさんがたくさんな本を持って部屋へやってくる。ティーラが借りている部屋にはまだ荷物がなく、本棚の本にも料理の本後数冊並んでいるだけ。そこに借りた本が並び、本棚の一列だけ埋まった。


(クローゼットには着れる服が増えてきたし。本棚にも本がたくさんで嬉しい、何から読もうかな?)


 本棚に並んだ本を見て喜ぶティーラを、レオは優しい瞳で見つめている。レオは、まだまだティーラを喜ばせたいと思うのだった。


「じゃ、用があったら隣にいるから」

「はい、ありがとうございました」


 レオさんはそれだけ言うと部屋から出ていく。今日も書類整理で、夜遅くまで起きているようだ。いまから1時間くらい経ったら、コーヒーと焼いたクッキーを持っていこうと、ティーラは本棚から本を一冊選んだ。




(そろそろ1時間かな?)


 読んでいた本を閉じて、部屋の時計を確認したティーラは、ソッと足音を立てずキッチンに向かった。キッチンのコンロに火をつけ、湯沸かしでお湯を沸かし、レオさん好みの甘めのコーヒーを淹れた。


「お茶菓子は何にしようかな? レオさんのお土産の一口ケーキ? チョコレート? それとも軽食を作る? そうだわ、今日焼いたクッキーを持っていこう」


 淹れたてのコーヒーとクッキーをトレーに乗せて、レオさんの部屋に向かい、扉をノックするとすぐ返事が返ってくる。


「お疲れさまです。コーヒーを淹れました」

「ありがとう。ちょうど、何か飲もうと思ってたんだ」


 そう言って読んでいた書類を執務机に置くと、レオさんは近くのソファに座った。ティーラはソファ前のテーブルに、淹れた手のコーヒーとクッキーを置いた。


 クッキーはレオさんの好きな、卵白と生地を混ぜて焼くラングドシャ、サクッとした軽い食感が好きみたい。ティーラもラングドシャは好きで、村でよく焼いていた。


「ティーラさん、このクッキー美味しい」

「ほんとうですか、よかった。……あのレオさん、私も一緒に、ここでコーヒーを飲んでいいですか?」


「うん、いいよ」


 ティーラは部屋で飲もうと淹れたコーヒーを持って、レオさんの反対側のソファに座った。


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