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第17話

 ティーラは口元をタオルで覆い、長いはたきを手に持ち上から埃を落とす。この部屋は「使っていない部屋だ」とレオさんが言っていたけど、あまり埃は溜まっていなかった。


「この程度だったら、早く終わりそうね」


 ティーラが村にある、家へと追いやられた家の方が酷かった。その家に比べればこれは楽な方だ。サッサと終わらせて、洗濯物をしましょう。


 ――1人のときは、やらなくてはならないからやっていたのだけど、雇い主のレオさんの洗濯物だものしっかり洗わなくちゃ。


 ティーラは部屋の掃除を終わらせて、レオから聞いた洗濯場へと移動した。そこには大きなシャツと普通のシャツ、大きなスラックスと普通のスラックスなと、サイズ違いの衣類が置いてある。


「この衣類、ライオンのレオさんと、人の姿のレオさんの服なんだわ」


 サイズ違いの衣類を手に取り、洗濯石鹸で先ずは襟と袖の汚れから洗っていくと、ティーラは驚くことに気づく。


「この洗濯石鹸って汚れがよく落ちるわ。昔、使っていた洗濯石鹸とは全然ちがう! ふふ、こんなに簡単に汚れが落ちるなんて洗濯が楽しいわ!」


「ティーラさん、楽しそうだね」


 声がして見れば、王都から戻ってきたレオがいた。


「え? レオさんお帰りになっていたのですか? お迎えに出れずすみません」


「いいよ。それより、お昼だけどお腹空かない?」

「お昼……お腹?」


 レオにそう言われて、ティーラのお腹がグゥ〜ッと主張した。その音の大きさにティーラは顔を赤くする。


「ふふ。それじゃ、2人で早く洗濯を終わらせて昼食にしよう」


「え? 2人で?」


 レオは着ていた上着を脱げ捨て、袖捲りをして洗濯に加わる。はじめはいいのかと思ったが、レオさんが楽しそうに洗濯をするものだから、ティーラも楽しくなって2人で仲良く洗濯物を終わらせた。


「これでよし。ティーラさん、他に干すものはない?」

「はい、それで最後です。レオさん、お疲れ様です」

「ティーラさんもお疲れ様。さぁ昼食にしようか」

「では、昼食の準備いたしますね」

「待って、準備はいいよ。王都で、サンドイッチを買ってきたから、コーヒーだけ淹れて」


 レオは王都に出たついでに、人気のパン屋でサンドイッチを買ってきたと言った。ティーラは、サンドイッチが入った紙袋をレオから受け取り、キッチンへと向かった。

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