「えっと、仕事の話はした。あ、そうだティーラさんに見せないといけないかな? 少し待ってて」
レオさんはそう言い残して席を立つと、キッチンから出て行った。
しばらくして
「ティーラさん、お待たせ」
と言って、キッチンに入ってきた人はシャツにズボン、レオさんと同じ服装で、とても長身でカッコの良い男性がティーラの前に現れた。
(えっ?)
「だ、誰? 誰ですか?」
「誰って……僕だよ」
金髪の長めの髪、琥珀色の瞳の男性が近付く。
「すみません。レオさんはどこですか? あ、もしかしてレオさんのお知り合いの方? 私、レオさんに雇われ、ここでメイドとして働くティーラと言います」
失礼のないように立ち上がり、頭を下げた……しかし、帰ってきたのは、目の前の男性の大きな笑い声だった。
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ティーラさんは可愛いなぁ。彼女に仕事の話をして、彼女にはいずれは見せることになるから「待っていて」と、自室に戻り、獣人の姿から人型になり着替えてキッチンに戻った。
彼女は驚いたのだろう、僕を見るなり瞳を大きくした。
(これは、驚かせてしまったかな……?)
彼女の姿を見ればわかる。
それに第一声が
「だ、誰ですか?」
だもんな。
僕は笑って
「誰って、僕だよ」
と答えたが。
ティーラさんは座っていた椅子から、いきなり立ち上がり、僕に深々と頭を下げて自己紹介を始めた。そして彼女は僕を必死に眉毛を八の字にして、キョロキョロして探しはじめ、仕切りに「レオさん」と僕の名前を小さく呼んでいる。
これを、笑ったらだめだ。
だけど、そのティーラさんの姿が可愛くて、声に出して笑ってしまった。ティーラさんは僕を、キョトンとした表情で見ていた。