レオに心配をさせて、看病までしてもらっている。
せっかくメイドとして雇ってもらえたのに、熱のせいで気が弱っているからか、ティーラの瞳から涙があふれてしまった。
「ありがとう、レオさん」
「泣かないでティーラさん。パン粥をたくさん作ったから食べれるだけ食べて、薬を飲んでゆっくり寝ようね」
「はい」
レオは優しい言葉をかけてくれて、モフモフの大きな手で涙を拭いてくれた。
「レオさん……一緒に寝ませんか?」
大きなベッドでひとりは寂しくて、レオの風邪のこととか考えず言ってしまった。レオは驚きつつ「僕は近くのソファで寝るから、何かあったら言って」と言ってくれた。
――嬉しい。ルース村では風邪をひいても一人だった、リオンと彼の両親は見舞いにはきてくれるけど……帰ってしまう。ほんとうは、あの家で1人で過ごすのは寂しかったし、風邪をひいた日が1番嫌いだった。
(誰かがそばに居てくれるだけで、こんなにも安心する。ありがとう、優しい金色毛玉ライオンのレオさん)
ティーラの風邪も落ち着き、レオの仕事のことを聞いた。レオの仕事は森の管理人と、冒険者ギルドでの薬草の採取。王都にある、獣人街の獣人をまとめる役目もしていると言った。
「冒険者ギルドの薬草集めは、森での薬草集めの仕事が入った時だけで、ほとんどは屋敷にいて書類整理か森の管理をしてるよ。あ、月に何度か獣人街の見回りもしてる」
「わかりました」
「メイドの、ティーラさんの仕事は僕と一緒に朝昼晩の食事の準備、洗濯、掃除。僕とお茶の時間、僕とお昼寝、僕と読書かな。食料は仲間が届けてくれたり、僕が買ってくるから基本屋敷での仕事が中心だね」
「はい、がんばります」
(ほとんどレオさんと一緒なのだけど……)
ティーラはそれでいいとかと、楽しそうに語るレオに聞けなかった。