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第3話

「よし、今日も頑張るわ!」


 丘の上の煉瓦造りの羊飼い小屋に向かい。牧場で働く従業員に挨拶をして、裏口に回り込みティーラは元気よく扉を開けた。


「ヤナおじさん、ミリおばさん。おはようございます」 

「ティーちゃん、おはよう」

「おはよう、ティーちゃん。来て早々悪いんだけど、水を羊たちにやってくれるかい」


「はい、わかりました」


 返事を返して、ティーラは従業員にまじり、桶を持って井戸水をくみ。羊達に栄養たっぷりの牧草と朝の冷たい水を飲ませた。重労働だけど、なれてしまえばなんて事ない。


 朝の行程をすべて終わらせ、ティーラ達は小屋に戻る。


「ミリおばさん、終わりました」


「お疲れさま。さてと、次は草刈りにいくわよ。――あ、ティーラちゃん、リオンが仕事終わりに寄るっていっていたから」


「リオン君がですか? わかりました」


(なんだろう? 明日の結婚式の打ち合わせかな?)


 明日は近くの街の教会を借りて、2人だけで結婚式を挙げるんだ。



 +



 夕方。リオンは仕事が終わったのか、羊小屋を掃除するティーラの元へとやってきた。


「ティー、おつかれさま」

「リオン君、おつかれさま」


「ティーに話があるんだ、いつもの場所で待っている」


「うん。終わったら、すぐに行くね」


 小さい頃からよく待ち合わせをした、リース村の東寄りにある、橋の上で会う約束をした。仕事が終わり、みんなに挨拶してティーラは橋の上で待つ、リオンの元へと駆け寄った。


「リオン君、お待たせ。話ってなに?」


「ティー……おつかれさま」


 橋の上で待つ彼に近づくと、その表情はいつもより、沈んいるように見えた。


「リオン君?」


 話があると言っていたのに何も言わない「どうしたの?」と聞こうとするまえに、リオンはいきなりティーラに頭を下げた。


「ティー、ごめん。俺、俺はティーとは結婚できなくなった……」


「え、結婚出来ない? どうして? 明日になったら、町の教会で結婚をするのでしょう? そして、この領地を守るって約束したじゃない!」


 リオンに詰め寄って聞くと、彼はティーラから目をそらした。


「ごめん、ティーの他に好きな人ができた……から、本当にごめん」


 詳しい説明もなく。それだけ言うと、リオンはティーラを押し退けて帰っていった。

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