一年後。一人になったティーラの元へ、父と仕事仲間だと言った男爵のマントが現れる。彼が連れてきた弁護士を挟み、ティーラは何度も話し合いをした。当時、ティーラは十三歳で成人しておらず親戚もいない。領地経営の勉強も終わらない子供のティーラ一人では、領地経営がおこなえないと判断されてしまい、弁護士の言う通りに従いマント男爵に任せるしかなかった。
彼らが屋敷に住み始めると。お父様の執事、メイドを使えないとやめさせ、ティーラは彼らの一人娘セジール様に嫌われ、彼女の悪巧みにハマり屋敷を追い出された。
追い出される前にティーラが成人、18歳になったら領地経営、領地を返してもらう書類を交わした。その18歳を明日迎える。明日になったら2歳年上で婚約者のリオン君と結婚して、彼が准男爵アンドレイの名を継ぎ、領地を2人で納めるつもりだ。
(明日になったら、好きな人と幸せになるの)
ティーラがリオンと婚約したのは15歳。ティーラはリオンが通う学校に通いたかったが、お金の都合が付かず諦めるしかなかった。婚約者で、2歳上のリオンは学校に通いながら、マント男爵の元で領地経営の勉強をはじめた。
(本当や嫌だけど……近くにほかの男爵領がないし、頼れる人がいないから、仕方がないわ)
ティーラは屋敷に住んでいた頃に、家庭教師から習ったことを繰り返し街の図書館で勉強しながら、村の長でリオンの両親の元で羊飼いと毛刈り――毛織物、輸出のしかたを習いはじめた。
(1人で領地の経営、言語を覚えるのは大変だけど……がんばる)