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17.おつかれさまでした。


 【死後四十九日目。泰山王たいざんおうの登場です】



 診察室の椅子には、白衣の医者が座ってる。短めの黒髪、精悍な雰囲気のイケメンだ。医療ドラマに出てる俳優さんみたいでカッコいいなぁ。



 「ああ、あんたも引っかかった?」



 検査項目みたいな言い方。



 「いーよ、みんな引っかかるから」



 みんな引っかかるんだ……。変生王へんじょうおうさまがやったやつ。



 すっかり覇気を失っているタナカに、泰山王さまは笑いかける。



 「ギリ人間道ね。相変わらず甘いなぁ、うちのトップは。ま、いっか」



 泰山王さまはタナカを促し、隣室へ続くドアを開けた。病院らしからぬ光景が広がる。



 鳥居が六つ。鳥居の向こうは、いずれも暗い穴が口を開けている。



 「左から二番目の鳥居を進むんだ」



 と、泰山王さま。



 「転生するまではけっこう時間がかかる。その間は、お盆だけ特別に遺族の方々に会えるよ」



 泰山王さまの声がだんだん遠くなる。タナカの姿が鳥居の向こうへ消えていく。人間道に繋がる道へ──。



 タナカ。

 色々あったけど、おつかれさま。



 【来世では浮気すんなよ~】



 確かに。



 ああ、また霧だ。

 泰山王さまも素敵だった。



 イケメンだらけだったぁ〜。





 「僕たちのことも忘れないで!」



 まだいるの!?



 霧を払うように、三人の少年が現れた。




 「百か日担当の平等王です!」



 「一周忌担当の都市王です!」



 「三回忌担当の五道転輪王ごどうてんりんおうです!」




 わぁ、かわいー!

 アイドルみたーい!



 大人の男ばっか見てきたから、この少年ぽさがいい感じ!



 「僕らは、転生先がなかなか決まらない時や再審が必要な時に登場するよ」


 うんうん。


 「生前大きな罪を犯していても、遺族の追善供養があれば罰を軽減される可能性があるんだ」


 「だから、残された人たちが行う“法要”はとっても大切なんだよ」


 へえー。



 「じゃあね~!」



 元気に手を振る少年たち。

 私もつられて手を振っちゃう。



 【冥界の仕組み、そして十王じゅうおうブラザーズのご紹介でした~】




 なるほど。

 十人の王が出てきたから、十王ね。

 ブラザーズなんて言っていいのかしら。



 とりあえず締まったみたいだけど。





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