【死後四十九日目。
診察室の椅子には、白衣の医者が座ってる。短めの黒髪、精悍な雰囲気のイケメンだ。医療ドラマに出てる俳優さんみたいでカッコいいなぁ。
「ああ、あんたも引っかかった?」
検査項目みたいな言い方。
「いーよ、みんな引っかかるから」
みんな引っかかるんだ……。
すっかり覇気を失っているタナカに、泰山王さまは笑いかける。
「ギリ人間道ね。相変わらず甘いなぁ、うちのトップは。ま、いっか」
泰山王さまはタナカを促し、隣室へ続くドアを開けた。病院らしからぬ光景が広がる。
鳥居が六つ。鳥居の向こうは、いずれも暗い穴が口を開けている。
「左から二番目の鳥居を進むんだ」
と、泰山王さま。
「転生するまではけっこう時間がかかる。その間は、お盆だけ特別に遺族の方々に会えるよ」
泰山王さまの声がだんだん遠くなる。タナカの姿が鳥居の向こうへ消えていく。人間道に繋がる道へ──。
タナカ。
色々あったけど、おつかれさま。
【来世では浮気すんなよ~】
確かに。
ああ、また霧だ。
泰山王さまも素敵だった。
イケメンだらけだったぁ〜。
「僕たちのことも忘れないで!」
まだいるの!?
霧を払うように、三人の少年が現れた。
「百か日担当の平等王です!」
「一周忌担当の都市王です!」
「三回忌担当の
わぁ、かわいー!
アイドルみたーい!
大人の男ばっか見てきたから、この少年ぽさがいい感じ!
「僕らは、転生先がなかなか決まらない時や再審が必要な時に登場するよ」
うんうん。
「生前大きな罪を犯していても、遺族の追善供養があれば罰を軽減される可能性があるんだ」
「だから、残された人たちが行う“法要”はとっても大切なんだよ」
へえー。
「じゃあね~!」
元気に手を振る少年たち。
私もつられて手を振っちゃう。
【冥界の仕組み、そして
なるほど。
十人の王が出てきたから、十王ね。
ブラザーズなんて言っていいのかしら。
とりあえず締まったみたいだけど。