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15.行き先はどこでしょう。


 【亡者の今後については、リーダーの閻魔王に決定権があります】



 ナレーションの調子が戻ったみたい。タナカは、この後どうなるんだろう。



 閻魔さまがパチンと指を鳴らすと、黒子が大きなダーツボードを運んできた。円は六等分され、それぞれに何か文字が書いてある。



 「キミが行くのは、この6つの世界のどれかだ」



 閻魔さまは、黒子から矢を受け取りながら言った。



 ダーツで決めるの!?



 「一応、説明しとくね」



 閻魔さまによれば。亡者の転生先は六つの世界に分かれるそうだ。六つの行き先、すなわち六道ろくどうである。



 これらの世界にも寿命があり、亡者となればまた裁きを受ける。私たちの魂は、こうやって転生を繰り返しているのだとか。



 六つの世界を彷徨さまよい回るということで、これを六道輪廻ろくどうりんねという。



 それぞれの世界とは。



 ①地獄道。


 いちばん有名なやつだ。大罪を犯した者の行き先。



 地獄にもランクがあり、下から上まで八階層に分かれている。



 罪の大きさや回数などにより振り分けられるのだが、地獄道の寿命はいちばん浅い階層でも一億六千年。永遠に等しい時間を苦しみ抜かなければならない。



 やはり、悪いことはするもんじゃない。



 ②餓鬼道


 飢えに苦しむ世界。食べ物が目の前にあっても、口に運ぼうとした瞬間に燃えて消えてしま



 ③畜生道


 動物や虫と同じ、弱肉強食の世界。自分より大きく強い存在に怯えながら生きていかなければならない。



 ④修羅道


 閻魔さまの説明によれば、この世界には鬼神の阿修羅くんが住んでいる。



 阿修羅くんはとっても好戦的だ。そのせいか、この世界の人々は怒りや欲望を抑えることをせず、争いが絶えないらしい。



 ⑤人間道


 今、私たちが生きている世界。辛くもあるが楽しいこともある。



 ⑥天道


 超ハッピーな世界。ただし極楽とは違う。ハッピーなりに迷いや悩み、辛さもある。


 寿命を迎えればまた裁きの対象になり、どこかの世界へ転生することになる。




 「さて。キミの行き先はどこかなっ?」



 閻魔さまがもう一度指を鳴らすと、黒子がダーツを回転させ始めた。



 ソファにもたれて足を組んだまま矢を構える閻魔さま。

 素敵。



 気絶寸前のタナカ。もうすぐ、おまえの運命が決まる。



 ダーツで。




 閻魔さまが矢を放った。パシュッと小気味良い音が響く。




 回転が止まったダーツボード。

 矢の行方は──。





 『人間道』。






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