「おやおや、煌は、ご機嫌ななめか。せっかくだから、一緒に飯でも食うか?なんて、誘うつもりたったんだが?」
一人で食う飯は味気ないと、
「
八代も、何か嫌な予感がして、牽制をかけたつもりなのだが……。
「あぁ!こいつな、四郎、返すわ。いやね、えらく急いでいたもんで、俺がうっかり、蹴り飛ばしそうになってなぁ……」
にゃーとシロは鳴き、八代へ手渡される。
「四郎大丈夫か?」
「あっ、そのー、八代ちゃん、ごめん。マタタビに引っかかってしまうなんて……でもさぁ、あたいは、結局、猫なんだよぉー」
シロが、弱音を吐きながら、八代へ訴えた。
煌の表情が、更に険しくなる。シロの口振りからも、
「お頭……」
シロを抱きながら八代が声をかける。
「……そうか……。
依然厳しい顔付きで、それでも、煌は、口振りだけは朗らかに、
「お頭、そ、それは……」
あり得ないまさかの展開に、八代は煌を止めにかかるが……。
「八代、天下の裏隠密殿と共に過ごすのも悪くないだろう。こちらも何か、ためになる話が聞けるかもしれないぞ」
言い切った煌は、ニヤリと口角を上げ、挑むような視線を
誰がどう見ても、まずい状態とわかるほど、煌と
八代は無言のまま、煌に従うと頷く。おそらく、煌は、美代の事を口止めするため
「おっ!そいつぁーいい!煌、蕎麦でいいか?この近くに馴染みの店がある。そこのかけ蕎麦が、また絶品なんだ!」
煌と八代は、その後ろに続いた。
「……煌ちゃん、八代ちゃん」
八代の懐に入っているシロが、ヒョコリと顔を出し、申し訳なさそうに呟いた。シロなりに、これからのことを心配しているのだろう。
「四郎……マタタビは……仕方ない」
煌は言うが、どこか笑いを堪えている様にも見える。
「申し訳ございません。監督不行き届きでした……」
自分が飼っている猫が、不祥事を起こしてしまったと、八代は煌へ詫びを入れた。
「気にするな八代。四郎は、所詮、猫なのだ」
「はい。あたいは猫ですから……」
しゅんとしながら、シロは、再び八代の懐へ潜り込んでしまった。ばつが悪いのだろう。
「しかし、
ふっと、煌が笑った。
「八代、私達もかけ蕎麦とやらに、何かを仕込まれないよう気をつけねばならんな。しかし、久しぶりの蕎麦だ。うっかりということもあるかもしれん……」
「お頭、何があろうとも、必ずお守りいたします」
八代の一言にも、煌は、先を行く