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第99話 混浴

 30階に着くと、部屋は2つしか無かった。

 金星ドーナツの一人部屋と四人部屋。

 俺たちはこっち側だな。


 左側の"金のウロボロスドーナツ型?のドア"。

 なんちゅうものをドーナツにしてんだ。

 まるでボス部屋みたいになってる。


「⋯開けるぞ」


 期待した目で二人が見ている。

 どんなのが待っているのか⋯

 ゆっくり開けると⋯


 ― 黄白色のモコモコした壁、天井には大きな金星ドーナツ風の埋め込み照明、金星ドーナツの模様がたくさん入った床やベッドや冷蔵庫等


「サンプル通りね⋯いいじゃない!」

「わ~い! 金星ドーナツ~!」


 ユキとヒナはベッドへと突っ伏した。

 その勢いで、"ヒナの黒いパンツ"が見えたのは黙っとこう。

 んな短いスカート履いてんのに、そんな事するからだ。


「そういやヒナって、肋骨4本ヒビいってたのに、元気なの凄いな」

「あー、かなりの"劇薬"を飲みまして」

「⋯"劇薬"?」

「"3週間効く痛み止め"を飲んだんです。副作用に、効き目が切れた後に1週間寝てしまうらしいんですけど」

「はぁ!? 1週間!?」


 ヒナはその薬を取り出した。

 真っ黒の液体で、半分飲んであり、中心に横線で"ココマデ"とある。


「⋯こいつを1回分飲んだのか」

「はい」

「そうするしか、あの時はダメだったしね⋯」


 ユキがヒナをさすりながら言う。

 俺がいなかったせいで、ヒナがこんなのを飲むはめに⋯


 この副作用をどうにかする方法は無いか?

 効き目は凄いが、ヒナの身体に相当な負担を掛けているはず。

 ⋯くそ、今は思いつかない


 残り20日ほどと考えて、それまでに全てを終わらせないといけないかもしれない。

 ヒナ無しでは相当キツいだろう上に、1週間見守り続けるのも大変になる。

 ⋯そこまでが、俺たちが動けるの最終リミットと考えた方がいい


「俺が不甲斐ないせいで⋯本当にわるい。ヒナの副作用が始まる前に、全てを終わらせるから」

「いえいえ、そんな深く考えなくていいですよ! 私がいなくなっても、そんな変わらな」

「ヒナは絶対いなきゃいけない、もうそういう存在なんだ。分かったなら、温泉行くぞ!」


 俺が背を向けると、後ろから誰かに抱き着かれた。


「(残りの時間で⋯精一杯力になりますね)」


 その後、ユキに「私、いるんですけど?」と言われるのは言うまでもなく⋯

 なんで俺が怒られてるんだ⋯?


 1つ上が温泉って事もあって、すぐ"ドーナツ温泉"へと来た。

 アスタには連絡してみると、「いいね、30分後でもいい? カイと行くよ」って。


 ユキとヒナに言うと、合流後は男湯と女湯に分かれようと言われた。

 もしかして、あまり呼ばない方が良かった⋯?

 ちょっと睨まれたし⋯


 へぇ~、ドーナツってのは"周りの形がドーナツ"って事か。

 もこもことした茶色い岩盤で囲まれた中に湯がある。

 この湯が"橙色"に輝いている。


「わぁ~! なにここ~!」

「いい気分転換になるわね。それに貸し切りじゃない」


 先に入ろうとすると、二人が後ろから来た。

 ピンクのタオルを巻き、そこにはこの"カレイドドーナツホテルのロゴ"が付いている。

 ちなみに、男子は黒いタオルだ。


 最近の銭湯や温泉は便利なとこが多く、脱衣所で裸になると、AIが察知してすぐタオルを巻いてくれる。

 これによって通う敷居が低くなり、また流行り始めている。


「あ、ルイさん! どうですか! 私いい身体してますか!」

「いや、答えにくいわ」

「あははっ!」


 そしてユキに「⋯変態ルイ」と小言を言われている、なんでも俺のせいじゃん⋯

 三人して同時に湯に入ると、これがまた新感覚の湯だった。


 身体全体をゆっくり揉まれているような⋯

 調べてみると岩盤下に上手い事、"見えないAI噴水"を複数設置してるそうだ。


 奥に"生クリームみたいなイス?"があったので座ると、ふんわりした感覚で、さらには身体にフィットするように形を変え始めた。

 こりゃいいな、絶対ここが特等席だろ。

 と思っていると、


「⋯んっ」


 ⋯今の声、ユキか?


「この噴射、なんか"変なとこ当たる時"、無い⋯?」

「え~? そんな事ないよ?」

「⋯あ! あなたがそれ押してたからね!?」

「バレちゃった~!」

「ば、ばかっ! ルイもいるのよ!?」

「ルイさ~ん! 助けてくださ~い!」

「お、おいっ!? なにやって!?」


 ほぼ裸状態のヒナに突っ込まれ、重なるようにユキまで。


「⋯超変態ルイ!」

「俺蝶だけど⋯なんで毎回俺なんだよっ!!!」

「あははっ!」


 アスレチック温泉じゃねんだぞここ⋯

 まぁ見た目は遊び場みたいなもんだけどさ。

 貸し切り状態でよかった、ほんとに⋯


 それからはヒナは一人噴射で遊び、ユキが俺の横へと座って来た。

 ここがいい場所だってのがバレたか。


「あ、いいわねここ」

「誰にも言うんじゃねぇぞ」


 少しの静寂の後、


「(⋯ねぇ、一つ聞いていい?)」

「(⋯はい)」


 急に囁き声で聞いてくる。


「(めちゃくちゃ聞き辛い事なんだけど⋯いい?)」

「(逆に気になるわ)」

「(ルイってさ⋯射精ちゃんとしてる?)」

「(⋯めちゃくちゃ答え辛いヤツだな)」

「(だって⋯あなたはただの人間じゃないわけじゃない? その辺どうなのかなって⋯男の子は3日に1回はした方がいいって研究もあるし⋯)」


 ⋯俺はこんな温泉で女子に何を聞かれてる?

 清楚っぽい幼馴染から、そんな言葉を聞く日が来るなんて、人生何があるか分からないとはこういう事か。

 まぁ俺たちは大学生ではあるけど、二十歳もう超えてるし、普通に心配してくれてるのかも。


「(⋯頻度はクソ少ないな、たぶん性欲は相当薄いと思う。それに、白じゃなくてカラフルなやつが出る)」

「(へぇ~⋯カラフルなの⋯ふふっ)」

「(やっぱ笑うよな、変過ぎるわこんなの)」

「(ごめんごめん、悪い意味じゃないから。そこも他と違っていいと思って)」


 さらにユキは傍に寄って来た。

 もう腕同士がくっ付いている。


「(女の子としたいな~とかは⋯ならないの⋯?)」

「(⋯今のとこはそんなに)」

「(そんなにって事は⋯ちょっとはある?)」

「(まぁ⋯)」

「(⋯そっか。いい事ね、うんうん)」


 このタイミングでアスタから通話が来た。


「⋯んじゃ、俺は男湯行くわ」


 ヒナは「え~!」と言っていたけど、また明日来ようと言っておいた。

 ⋯ありがとうアスタ、あれ以上いたらのぼせそうだったわ

 出る間際にユキの顔を見ると、見た事ないほど真っ赤になっていた。

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