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第67話 鬼鎌

 鎌で防いだと思った瞬間、身体から尋常じゃない熱さを感じた。

 一瞬、自分の右脇腹を見ると⋯血塗れになっていた。

 意識した直後、全身に激痛が走る。


「うぅ⋯」


 痛みでうずくまる暇など無く、ヤツの左手に用意された"黄金の弓"が私へ向けられた。

 周りには守ってくれる人などいない。




 ⋯ シ ヌ ?




 ― 何もかも投げやりになった時


 鎌が姿を変え、鬼の顔が露わになった。

 〈白雪鬼の死神鎌(スノーホワイトデーモン・デスサイズ)〉は本当はこうなんだと、言い聞かせられるかのように。


 この反撃がとうとう"アイツ"を一歩引かせた。

 でも、まだみんなは戻ってこない。


 この研究室のような場所。

 いるのはコイツだけじゃない。


 ただ、切れていた〈天魔神の超重力〉がもう一度張られたのが分かった。

 向こう側からヒナがどうにか張ってくれたんだ。

 さっきの零距離レーザーは、ヒナがいなくなった事で直撃したのだろう。


「はぁ⋯はぁ⋯ぐっ⋯!」


 歯を食いしばれ。

 ここで倒れたら何もかも終わる。


 ⋯会えなくなる

 会うまでは⋯倒れ⋯ない⋯!!


「んぁぁぁッ!!!」


 身体の底から叫んだ。

 残り全てを振り絞る様に。


 私は生きたい。

 今も、これからも。


 白雪鬼の目が青く光った瞬間、新たなズノウが解放された。

 "シロイズノウ"の一覧が解禁され、その中の一つを即座に選ぶ。


「⋯これなら⋯!」







 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉


 ⋯


 ⋯⋯え?


 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉


 ⋯なんで⋯?


 なんで⋯どれも⋯つかえな⋯


 もうヤツが⋯!!

 早く⋯早く⋯!!!


 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉

 〈これを使うには体力が足りていないため発動できません〉




 ヒナとニイナの顔が最期に見えた。

 自分の頭だけ、宙を浮いていた事は覚えている。


「ユ⋯キ⋯ちゃん⋯? いやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」

「先⋯⋯輩⋯⋯」


 二人の大声だけが周りに響く。

 私はきっともうこの世にいない。




 ⋯




 ⋯⋯


















 そんな妄想が、霞む現実から見えてしまった。

 必死に両手で防いだ私に、なんと何も当たって無かった。

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