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第51話 協力

 多くの人数が集まった新宿移動。

 向こうは新宿駅で待ってくれているらしい。


「時間だな、それでは行こうか。各自、注意を怠らないように」

「あ、すまん! ちょっと、一つ聞いていいか?」


 突然スエが手を上げ、主催者に質問をし始めた。


「どうした?」

「なんで"19時"に集まったんだ? もっと明るい方が行きやすかったろ?」

「それは思ったが、"新宿区からの指示"でな。このくらいの時間の方が、襲撃しやすいと言っていた」

「ふーん、まぁいいけどよ」


 ♢


 渋谷駅に着いた時、ちょうど電車が来た。

 簡易型エスカレーターが、すぐ用意され、3階へと乗れる事を示す。


「3階、行こっか」


 ユキに続き、3階へと上がる。

 上がる時、ユキが「初めて襲われた日、思い出すね」と小さく呟いた。

 俺は「⋯そうだな」と。


 今思えば、あんなのは本当に始まりでしかなかった。

 その後は、君野先生との別れ、大学からの脱出、2回目の総理の記者会見、国会議事堂への突撃、そしてユエさんとアオさんとの出会い。


 もっと最適解を取れれば、ユエさんもアオさんも裏部さんも、生きていたのに。

 俺はぐっと唇を嚙み締めた。


 ⋯殺す、絶対に


「まだ、悔やんでる?」


 隣のユキが顔を覗き込んできた。


「⋯当たり前だろ。絶対に殺す⋯!」

「ルイ⋯」

「お前がやるんだったら俺もやるぞ。警察の連中は総理の味方してるしな、もう役に立ちゃしねぇ」

「でも、いいんでしょうか、そんな⋯」

「んじゃ、黙って殺されろって言うのかよッ!!!」


 ヒナについ大声を上げてしまい、騒ぐ周囲。

 近くにいたアスタたちが近付いてきた。


「どうしたんだよ、らしくない」

「いや⋯ヒナごめん」

「いえ⋯」

「今日怖いよ君ら、何かあったの?」


 シンヤがアスタの前へと出る。


「どうもこうもあったもんじゃねぇ。こっちで2人も殺されたんだ、"黄色いパーカーのヤツら"にな」

「"黄色いパーカー"? それって最近出てるっていう"殺人集団"の?」

「そう。アスタ君も気を付けてよ。深夜に襲ってくるみたいだから」


 ユキの声に、アスタが頷く。

 すると、アスタの右隣にいた一人が黒能面を取った。


「アスタ様は死にません」


 端正な顔立ちで、急にそんな事を言った。

 と思ったら、


「僕らがいれば、安全ですよ」


 左隣の探偵までも、顔を出す。


「と、まぁ僕は大丈夫そうかな」


 アスタは両方の肩に手を置く。

 そんな態度のアスタに対して俺は、


「慢心するなよ、殺された人は"UnRuleの開発者"で、腕の立つ人だったんだ」

「え、開発者? って事は国家研究員の?」

「あぁ。お腹に赤ちゃんだっていた。なのにアイツらは、その赤ちゃんにまでナイフを⋯」

「⋯それは怒る理由がよく分かったよ」

「なぁ、お前も協力しろ、アイツらを根絶やしにする」

「それはいいけど、どこにいるか分かってるの?」


 俺は横に首を振った。


「そしたら、"ニイナとカイ"の力を借りないとね」


 ニイナは婦警、カイは探偵の名前か。

 この二人は君野先生の金庫にまで捜査を進めた力がある。


「その代わり、条件があります」


 婦警のニイナが俺の方を向いた。


「"イーリス・マザー構想"について、新情報があればすぐに教えてください。それと、総理まで私たちも連れて行ってください。三船様なら、それが出来ますよね?」

「⋯ふーん、それが条件か」

「嫌ならそれまでですが」

「いいや、随分と高圧的な婦警だと思ってな。条件はもちろんのむ」

「あのー⋯私ってそんな高圧的ですか? 皆そう言うし、警察やめようかな⋯こんなのヤダ⋯」


 え、急になんだ?

 突然ニイナは涙目で俺に訴えてきた。


「え、え? いや、えっと⋯」

「ダメだよルイ君、女の子には優しくしないと」

「な、なんかわりぃ⋯警察なんだからそれくらいでいいと思うぞ、自信持ってくれ」

「はい⋯ありがとうございます⋯でも性格直したいので、今度アスタ様と三船様が付き合ってください」

「「え?」」


 まるでシンクロしたように反応した俺とアスタ。

 この時、なぜかユキとヒナに「デート?」と問い詰められた。

 ⋯勘弁してくれ

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