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第46話 宴会

「肉⋯肉が戻って来た⋯!」

「よっぽど食べたかったのね」


 さっそく始まった2次会。

 帰る人が大勢いる中、俺は残って立食焼き肉へ。

 まぁ隣にユキがいるんだけど。


 貪るように肉を取り、すぐに焼く。

 迷う意味が分からないと、言われた意味が今なら分かる気がする。

 こいつは食わなきゃ、後悔する⋯!


「七色蝶様。本マグロの大トロ寿司、取れたて黄トマトとバジルのサラダ、ノドグロの煮付けもどうぞ」

「おぉ~、わざわざありがとうございます」

「いっぱい食べてくださいね」

「⋯ねぇ、あの高槻って人とさっきより仲良くなってない?」

「少し話しただけだって」

「ふ~ん⋯それより、さっきから七色蝶って呼ばれてるのね」

「動画や配信で、俺たちの戦ってるところを撮ってたヤツがいたらしい。そこから勝手にあだ名が付けられてる」

「私は"死神女"って言ってくる人いたんだけど」

「ふっ」

「なに笑ってんのよ」

「わっ!? ちょっ!! 肉落ちるって!!」


 2次会は23時頃まで続いた。

 ふ~、食いすぎて腹パンパンだわ。


 反対側では、シンヤ、ヒナ、レンナたちがスイーツと紅茶を楽しんでいる。

 レンナに関しては、"スクランブル守衛隊"というグループのリーダーらしく、さっき連絡先を交換した。


「ねぇねぇ、あっちにはお酒があんなに種類があるのね」

「へぇ~、酒って全然飲まないんだよな」

「私も」


 夜景を見ながら酒を楽しんでる連中もいる。

 この場所は今24時間開放されているようで、様々な用途で使われているらしい。


「今日は来てくれてありがとう。一番に呼びたいと思っていたが、誰も繋がりが無くてな。それにしても弁が立つな、三船君は」


 帰り際、主催者の人に話しかけられた。

 繋がりが無いってのは、やっぱりアスタの方からもダメだったのか。


「いえいえ。またこういった機会があれば、是非参加したいです」

「なら、また次回を考えておかないとなぁ! と、言ったところで急で悪いんだが、頼みたい事があるんだが」

「⋯なんでしょう?」

「白石君のところや、他にもお願いしているんだが、私も新宿区の"都庁へと行く"という話に乗ろうと思う。あの場所にはまだ"都知事が残っている"という噂が最近出ているからな。総理に繋がる何かがあると睨んでいるんだが、どうだろうか?」


 そういや、スエも行くって言ってたな。

 一応、答えは既に決めている。

 けど、独断で決めるわけにはいかない。


「もう夜も遅い、今すぐ決めろとは言わない。もし来てくれるなら、9月25日の19時までにまたここに来て欲しい。その日に行く予定だからな」

「⋯わかりました」

「また会えるのを楽しみにしてるよ」


 また会えるのを、か。

 そう言って数人連れ、主催者は帰って行った。


「で、どうするつもり?」


 隠れていたアスタが突然現れた。

 同様に黒能面を付けている者を二人連れて。


「⋯行くに決まってんだろ」

「そう言うと思ってはいたけど、他の意見は聞かなくていいの?」

「聞くには聞く。けど、聞かなくても、あいつらは俺が行くってたぶん分かってる」

「そりゃそうさ。君に付いて行けば、総理のもと、いや、"その先の黒幕"にさえ辿り着けるだろうからね」

「⋯は?」

「この大規模な事件、僕は"真犯人"がいると考えてる。これをすぐに見て欲しい」


 アスタから突如差し出された"数枚の真っ黒い資料"。

 そこの最初に、赤字で大きくこう書かれていた。


「【イーリス・マザー構想の失敗作の捜索について】⋯?」

「しーっ! 他の人にはバレないようにして!」


 横で帰る人たちに対し、アスタたちが隠すように俺の間近に立つ。


「⋯なんだ、これ?」

「それ、どこにあったと思う?」


 アスタはその言葉を呟くように言った。


「⋯⋯"新東京大学"だよ」

「!?」

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