銃剣は狂ったように、突然グリッチし始めた。
さっき選択した〈
〈七色の
例え俺が死んでも、コイツだけは必ず連れて行く。
銃剣上部が開き、"階段のような不思議な点滅光"が幾つも現れ、反射した。
その光とグリッチによって全体像が壊れ、どういった状態なのかはもう認識できないほどになっていた。
分かる事は、この引き金をアイツに向けて引く、たったそれだけ。
必死に態勢を整えようと下がるヤツに、この最後の一撃を食らわす。
この時、"ズノウの付与効果"か、ロックオンされた"三翼の天魔神"は異常なほど動きが遅くなっていた。
そんなヤツの顔面目掛けて放つと、一気に30個ほどの"何か"が一瞬でヤツへと飛んでいき、同時に幾つもの七色蝶の羽根が舞った。
その飛んでいった何かは、"グリッチ状の長細い光"という表現が正しいかもしれない。
その光はヤツの体内へ侵入すると、容赦無く全身を切り刻んでいった。
背中の翼も、白い少女も、黒い悪魔も、何もかも。
次第に跡形もなくなるほど切られると、ヤツは霧状に消えていった。
それを見て、俺は大の字に倒れた。
腹部が切られたかのように痛い。
数分も経たずして、二人の走る足音が近付いてくるのが分かった。
「おいッ!! 大丈夫かッ!? 一人でやっちまったのか!?」
なぜか視界が狭い。
微かにシンヤの顔が見える。
たぶんユキが俺の頭を抱えた。
伝わる感覚でなんとなく分かる。
「ちょっと疲れただけだ」
「⋯うん」
「そっちも終わったのか」
「⋯飯塚さんの言ってた、"ズノウ"ってのに助けられてね」
「上手く⋯使えたんだな」
「おうよ! あんなクソ共に負けてなんていられねぇからな! ってかしんどそうだな、この後動けんのか?」
「わりぃ⋯今は動けそうにない」
「プロトロアに車まで運んでもらいましょうか」
「そうだな。今の状態じゃ、次が来たら危ねぇだろうしな」
横たわる俺の視線の先。
その先を二人も見てしまった。
「おれの⋯せいで⋯アオさんが⋯!」
何度見ても血の気が冷める。
あの時、ヤツの攻撃先に気付けていれば⋯
後悔だけが、頭を駆け巡る。
「⋯こんな極限状態だったもの⋯全員生きるのは⋯無理だったのよ⋯」
「だけど⋯だけどッ!! あの時気付いていれば⋯ッ!!」
悔しさのあまり唇を噛み締めると、血が溢れた。
でもアオさんが流した血は、こんなものじゃない。
こんな⋯ものじゃ⋯
その瞬間、ユキが俺の頭を抱き寄せた。
「⋯逆に考えて。ルイ以外があれと戦ってたら、絶対全員死んでた。ルイのおかげで、私たちは生き残れたの」
「⋯」
「とにかくお前はよくやったよ。だって俺ら見ろよ、無傷なんだぜ、ほらユエさんだって」
端で眠るユエさんがいた。
近くにプロトロア2体がおり、後の3体はバラバラに壊されていた。
⋯きっと最後まで身を挺して守ったんだ
「だから、な。今回の事は⋯そりゃ残念だけどよ、守れなかったのは⋯俺たちのせいでもあるんだからよ」
この後、プロトロアに運んでもらって車に撤退した。
そして一旦、どこか休めそうな場所を探す事にした。
探す途中眠ってしまった俺。
次に起きると、高級そうなホテルの一室だった。
ここは⋯どこだ⋯?
ユキとシンヤとユエさんは?
ベッドから起き上がろうとすると、左腕に違和感を感じた。
「!?」
下着姿のユキが一緒に寝ていた。