金曜日の夜、仕事が終わった真希は、いつも通りデスクを片付け、定時より少し遅れてオフィスを出た。すでに日は落ち、街のネオンが疲れた心を癒してくれる。
「今週も無事に終わった…」
心の中でそう呟きながら、彼女はマンションへと向かう。エレベーターで自分の部屋に到着すると、ドアを開けた瞬間、ふっと肩の力が抜けた。
部屋の中は仕事場での姿とはまるで違い、雑多な書類や服が床に散らばり、キッチンには使いかけの食材が放置されている。これが彼女の「真の一人暮らし」だった。
真希はまず、ベッドに飛び込んでそのままゴロゴロと転がる。誰にも見せることのないこの一瞬こそが、彼女にとっての至福の時だった。
「はぁ…週末だけは、何も考えずにゆっくりしよう…」
スマホを手に取り、動画サイトを開いて好きな猫の動画を流す。真希の心は徐々にスローライフへと移行していく。
だが、この週末も、ただスローライフを楽しむだけでは終わらなかった。突然のインターホンの音が、彼女の日常を一変させる。
「誰だろう…こんな時間に?」
真希は嫌な予感を抱きながら、ドアを開けた。そこには、なんと上司の高橋部長が立っていた。
「真希くん…助けてくれ!」
突然の部長の訪問に、真希は驚きながらも、疑惑を感じた。