エピローグ☆緑美里
高校の授業が終わって、自転車で帰ろうとしたら雨だった。
緑美里は仕方がないので鞄とサブバッグをビニール袋に入れて濡れないように自転車に積むと、自分は濡れて帰途に着いた。
「水金地火木土天海冥」
地学部の友だちと惑星のミニチュアを作ったり、ホルストの組曲「惑星」を聞いたり、宇宙に憧れがある。
「リラシナ、リラシナ。十三月革命軍総指揮者金星のリラ」
雲間から薄く日が射して来る。
「金星は太陽に近いから、あなたはそこにいるのね?」
美里は自分が生きているのを実感しながらこの世界のパノラマが広がるのを胸一杯に抱いた。
「またカウチでまどろんで、火星からの船を待っている」
小説を書くんだ!と美里は思った。どうしてもそうせずにはいられない。
「でも、リラシナはもしかしたらミリーから去ってしまって、ミリーはメイと二人でたどり着いた木星の家で余生を十三月革命の記録を書いて過ごすのかもしれない」
いくつも分岐するストーリー。
どれを選んでも、どれも本当の話。
そして私は、紛れもない私。
緑美里の話、それは、また別の話。
十三月革命 完