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第二章☆リラシナ

第四部☆異なる時空で 第二章☆リラシナ

「パイソン!ミリーは?」

水星からキオの宇宙貨物船に乗せてもらってリラシナは木星に駆けつけた。

「兄さん!」

パイソンがリラシナを出迎えた。

「ロカワ氏から要請された人格交換器の専門家に捕まったんだけど、ミリー本人がサーファイヤーの身を案じて自分の意識だけ向こうへ送ってしまったの」

人格交換器本体はロカワ氏の手元にあって使えなかったため、専門家の科学者はイヤリングの機能を利用してミリーの意識をサーファイヤーの中へ送り込んでしまった。

メイの身体がベッドに横たえられていたが、仮死状態で、長時間放っておいたら間違いなくミリーの意識が戻ることは困難だと思われた。

「ミリー。ミリー。聞こえるかい?ぼくだよ。リラシナだよ」

メイの耳元でリラシナがささやくと、メイの右手がぴくり、と動いた。

「無茶しないで戻ってこい!ぼくを置いて行くな!」

しかし今度は無反応だった。

「彼女を連れ戻す方法は?」

誰も何も言えなかった。

「お父様」

イヤリングの通信機能が生きていて、サーファイヤーの映像が映った。

「サーファイヤー!ミリーはどうした?」

「わからない。バギーで運ばれていた時から記憶がぷっつりと途切れていて、気がついたら、建物の広間で、他の人は意識がないし、どうしたら良いのかわからない」

「他の人って誰だ?」

「白髪の少年とロカワとよく知らない男たち」

「今、サーファイヤーお前だけが意識があるのか?」

「そう。お母様は返事してくれないの」

「ミリー。何があったんだ?」

リラシナはわなわなと両手をふるわせた。

「パイソン。ぼくはサーファイヤーのいるところまで行ってみる。メイの身体を頼む。できるだけのことをするから、どうか死なせないでもたせていてくれよ」

「兄さん・・・」

パイソンは泣きながらリラシナを見送った。

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