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第六章☆ジャグラーは誰?

第二部☆天王星のジャグラー 第六章☆ジャグラーは誰?

水星のリラシナから火星のミリー・グリーンに連絡が行き、サーファイヤーはミリーからイヤリングの通信装置で連絡を受けた。

「リラシナって名乗ってるやつがジャグラーなのか?」

ロカワ氏が鼻息を荒くして尋ねた。

「でも・・・この船にジャグラーが乗っているっていうのは、ロカワの根拠のない推理でしょう?決めつけて良いの?」

サーファイヤーの言葉に、ロカワ氏は鼻白んだ。

「どうする?」

「私、船長に直に話して何故私の父親と同じ名前を名乗ったのか聞いてみるわ」

「危なくないか?」

「大丈夫よ。もちろんロカワがついていてくれるんでしょ?」

「お前なぁ・・・」

あきれてロカワ氏は笑った。


「ばれましたか」

リラシナと名乗っていた青年はあっさりと嘘を認めると、とりあえずサーファイヤーに席を勧めて真向かいに座った。

「十三月革命は有名な出来事です。ミリー・グリーンとリラシナも広く名を知られている。二人の間にあなたが生まれたことも知っていましたが、まさかミリー・グリーンに瓜二つだとは思ってもみませんでした」

「でも、どうしてキオ船長に連絡を取ろうとしたらあなたに回線がつながったの?」

「すみません。好奇心で回線に割り込んだんですよ」

「ひどいわ」

「本当にすみません」

「で、あなたが天王星のジャグラーなの?」

「え?なんでそうなるんですか」

「疑われたってしょうがないでしょう?」

「そうですけど、とんでもない。僕はそんな人物じゃありませんよ」

「本名は?」

「ラルフ、といいます。土星の革新派に所属しています」

すると、ラルフの真横にロカワ氏が姿を現した。

「お前土星人か?」

「うわあ。なんですかびっくりしましたよ」

「俺が誰だか知っているか?」

「・・・はい。武器商人のロカワ氏ですね」

「たいがいにしとかないと、ただじゃ済まさんぞ」

「すみません、すみません」

ラルフはジャグラーではなかった。


「天王星からの平和の使者の中にジャグラーが紛れてないか調べてくる」

ロカワ氏は姿を消して彼らの動向を探った。しかし、「下っぱしかいない」と結論付けてサーファイヤーの元に戻ってきた。

「このまま天王星へ向かうのは得策じゃないんじゃないか?」

「でも行程の半分以上進んでいて、燃料とか食糧とかが引き返してたら足りなくなるかも知れないわ」

ロカワ氏は肩をすくめて見せた。

「そもそも、私やお母様たちが逃げ出したのは、ロカワ、あなたのせいなんだから」

「俺?」

ロカワ氏はすっとぼけた声だった。

「サーファイヤー」

「なによ?」

「顔をよく見せてくれないか?」

「・・・」

ロカワ氏は両手でサーファイヤーの顔を包んでじっと至近距離から見つめた。

「いつだったか、『私は私』って言ったよなぁ」

「ええ」

「本当に、お前はお前だよ。ミリー・グリーンじゃない」

「まだお母様のこと想っているの?」

「・・・いや。ちょっと迷ってる。お前も捨てがたい」

「どういう意味よ」

「こういう意味」

そう言って、ロカワ氏はサーファイヤーの唇にキスをした。



第二部☆完

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