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第三章☆天王星へ

第二部☆天王星のジャグラー 第三章☆天王星へ

リラシナは操縦席でまだ手動操縦をやっていた。

「後でコンピュータの自動航法に切り替えたら、僕も貨物室に見に行きます」

「ええ」

サーファイヤーは微笑んで頷くと、先に貨物室に行った。

土星の衛星エンケラドスを上手く脱出できた。これから天王星の第三衛星タイタニアを目指す予定だが、もしかすると、予定が変わるかもしれなかった。

エンケラドスのミュージアムからひきとってきた荷物の一角に行くと、ミリー・グリーンの肖像画をおさめた大きな箱の梱包を解く。

箱の上部から肖像画を取りだし、ろくに眺めもしないで脇に置くと、箱の二重底の蓋を外した。

「大丈夫?」

「ああ」

中からロカワ氏が出てきた。

ふうっと息をつくと、床に座りこんでサーファイヤーの顔をじっと見つめる。

「何故俺を助けた?」

サーファイヤーは肩をすくめて見せた。

「私がいる場所を把握してるだろうな、とは思ってたんだけど、呼び掛けたら本当に返事してくるんだもの。・・・見捨てて行ける訳ないでしょ?」

「俺はお前にひどいことをするかもしれんぞ」

「そうね」

「・・・目的地に行く前に土星の第六衛星のタイタンで俺を下ろしてくれないか?」

「まだ戦うつもりなの?」

「当たり前だろう」

ロカワ氏はそう言って目をギラギラさせた。

「いい加減にやめなさい!」

サーファイヤーが迫力満載でピシャリと言った。

毒気を抜かれて、ロカワ氏はきょとんとサーファイヤーを見た。

「お前でもそんな声が出せるんだな。・・・本当にミリーみたいだ」

「私は私」

一瞬間を置いて、ロカワ氏は笑った。

「『私は私』か。傑作だ」

くっくっく・・と笑った後で、ロカワ氏は表情がすっかり緩んでいた。

「わかった。じゃあ、俺も目的地の天王星の第三衛星のタイタニアまで乗せていってくれるか?」

「オーケイ。・・・船長に許可もらいに行きましょう」

「船長。・・・もう一人のリラシナか?」

「そうよ」

「そいつのことが好きなのか?」

「なんで‼」

サーファイヤーは真っ赤になった。

「運命の相手じゃないのか?」

「彼は違うわ。まだ別の人が現れるはずよ」

「あれ?そうか?」

ロカワ氏は朗らかに笑った。

サーファイヤーは溜め息をつきながら、ロカワ氏が無事で良かったと思っていた。


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