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第二章☆シタニ

第二部☆天王星のジャグラー 第二章☆シタニ

「またか・・・」

ロカワ氏はいくつもの拠点を転々としていたが、いつも間一髪のところで自分が滞在した場所をデモ隊が総攻撃してきた。

「俺の居場所を知っている。だが、どうやって?機械?それとも人間の内通者がいるのか?」

念のため自分の取り巻きの部下達にも自分の動向をあまり洩らさないようにこころがけていたのが幸いした。

機械なら、情報を撹乱するジャマーの武器がある。それを発動させる。

人間なら、駆け引き次第でボロを出させられるだろう。ロカワ氏は念には念を入れて、罠を仕掛けることにした。

今、ロカワ氏は独りだった。自分だけが頼りだった。


「サーファイヤー、お客だよ」

「誰?」

「シタニって人」

「えー」

サーファイヤーはしかめっ面になった。

「連れてきちゃまずかったかい?」

リラシナがおどおどして聞いた。

「・・・いいわ。でも何の用?」

「ここ(エンケラドス)から脱出させてくれるらしいよ」

「えっ!」

まさかそんなことだとは青天の霹靂かと思った。

「サーファイヤー様、捜しました。ご無事で何よりです」

シタニが顔を見せた。

「本当にここから出られるの?」

「はい」

「ロカワは知ってるの?」

「いいえ」

「?どういうこと」

「私の一存です。天王星から『平和の使者』という団体がここへ来ていて、政府や市民に影響力を与えていますが、彼らと取引をしました」

「・・・」

サーファイヤーはシタニを信じられない物を見る目で見た。

「・・・あなた、ロカワを裏切ったのね?」

「はい」

「どうして?」

「サーファイヤー様をお守りするためです」

絶対、何か裏があるとサーファイヤーは思った。

「サーファイヤー。天王星に行くかい?」

リラシナが聞いた。

状況は切羽詰まっていた。街は破壊活動が進み、いつこの隠れ場所にそれが及ぶのかもわからなかった。

「お願い。少しでいい。考える時間をちょうだい」

「良いでしょう。でもなるべく急いで」

サーファイヤーは何故かロカワ氏の身を案じる自分に気づいた。

「私・・・、ロカワをどう思ってるんだろう?」

遠くで破壊音がひっきりなしに響いていた。

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